日本ハム清宮幸太郎内野手(21)と、野村佑希内野手(20)が敗戦の中で希望の光となった。ソフトバンク2回戦(札幌ドーム)の2回、清宮が今季初安打となる二塁打を放つと、続く野村が本拠地プロ初安打となる右前打を放って好機を広げた。今季3度目の0封負けも、唯一の見せ場となった近未来のクリーンアップ候補による初連打が、少しだけ期待を膨らませてくれた。

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無観客の札幌ドームに一筋の光が見えた。2回1死。清宮が一塁線を破る今季初安打。「スイングは悪くはなかったかな、と思います」。開幕から15打席目でようやく響いた快音。ベンチで先輩らが沸く中で、1学年後輩も燃えていた。

野村だ。カウント1-1から、変化球を右前へ運んだ。こちらは本拠地初安打。「二塁打で清宮さんが出てくれたので、ホームに返したいという気持ちもありました」。打球は右中間を抜けず、先輩を生還させることは出来なかった。「あそこが抜けないというのは、まだ力不足だと思う」。悔しがったが、2人による初の連打は、チームの未来への希望を感じさせた。

近未来のクリーンアップ候補によるチャンスメークに、栗山監督は期待の裏返しで「フツー」と表現。さらに、言葉を続けた。「オレが一番、ああいう風になると信じている。毎打席、ああなっているイメージしかない。オレは信じている」。ポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。得点にこそ結び付かなかったが、確かな成長も感じ取った。

無安打が続いていた清宮について、栗山監督は試合前に「クビだろ、クビ」と厳しい言葉でげきを飛ばしていた。応えるように清宮の打撃内容は向上してきた。指揮官は「内容が前に進み始めた。(小笠原)ヘッドに手取り足取り(指導を)お願いしますとやってきて、雰囲気が出始めた」と期待を寄せた。

栗山監督は言う。「今だけを見ていない。日本一になるための逆算。オレはそこへ向かって、やることをやるだけ」。清宮と野村が成長しながらチームに貢献しなければ、異例のシーズンを勝ちきれない。0封負けのさみしい敗戦の中で、唯一の光が、進むべき道を照らしていた。【木下大輔】

◆日本ハムの新球場 23年北広島市内に開業予定。ボールパークエリアの名称は「北海道ボールパークFビレッジ」、球場は「エスコンフィールドHOKKAIDO」。左右非対称の開閉式ドーム&天然芝球場になる予定・世界界最大級の大型ビジョン、天然温泉、360度回遊型コンコースなどが特徴。イメージ図を見た清宮は「圧倒されました。モチベーションになる。早くあそこでプレーしたい」。野村も入団時「3、4年経ったときに、清宮さんとクリーンアップを一緒に組みたいなと思います」と話している。