矢野阪神が万策尽きて、デッドラインに到達した。ジェリー・サンズ外野手(32)や糸原健斗内野手(27)をスタメンから外し、打線改造に踏み切ったが、2得点だけ。ビハインドの展開で勝ちパターンの継投を見せたが、流れを変えられず。94年以来の両リーグ最速10敗で、セ・リーグの借金を1球団で背負った。矢野監督就任後ワーストとなる借金8で、首位巨人と6・5ゲーム差に開いた。

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無観客のスタンドから虎党のため息が聞こえてきそうだった。2点を追う9回。先頭の代打糸原が四球を選び、代打福留が右前打で一、二塁とチャンスが拡大。しかし、続く1番近本がバント失敗で走者を送れず最後は遊飛。珍しく感情をあらわにしてバットをたたきつけた。最後は上本の遊撃併殺打でゲームセット。あぁ、打てない…。1勝があまりにも遠い。

目を覆いたくなるような数字がこれでもかと並ぶ。開幕カードの巨人3連戦以来、2度目の「3タテ」を食らい、今季初の4連敗。94年以来となる両リーグ最速タイで10敗目を喫した。これで2勝10敗で矢野監督就任後ワーストとなる借金8。試合後の指揮官は「起爆剤も現状ないんでね」と力なく話した。中日3連戦でチームの得点圏打率は0割6分7厘。貧打ぶりは深刻だ。

「MBS」トリオの解体に、1、2番コンビの解消も打線の活性化にはつながらない。この日は先発ガルシアということもあって打率1割台のサンズがベンチを外れ、相手は右投手だったが、糸原、木浪がスタメン落ち。上本、高山、北條をスタメン起用した。3回には今季初2番起用の上本が適時二塁打を放ったが、打線爆発とはならず。1点ビハインドの終盤には7回岩崎、8回スアレスと勝ちパターンを投入する「禁じ手」も勝利を呼ぶことはなかった。

勝率5割だったヤクルトがサヨナラ勝ち。阪神がセ界の借金を独り占め状態となった。また首位巨人とのゲーム差は6・5差に。阪神がリーグ優勝した過去5シーズンのうち、首位との最大ゲーム差は64年の6・5差。ペナントレースのデッドラインに足が乗った。矢野監督は「誰かというよりチーム全体の問題。俺も含めてね。もちろん。前を向いてやるしかないと思っています」と絞り出すように言った。開幕早々に、矢野阪神が早くも絶体絶命の危機を迎えた。【桝井聡】