暗雲を切り裂いた。オリックス若月健矢捕手(24)が6回にプロ入り初となる2号逆転満塁本塁打を放った。

「越えるかなと思ったけど、ホームランになるとは思わなかった。連敗中でしたし、(打順が)9番に降格して悔しかった」

2点を追う6回1死満塁。ここぞの場面で思い切った。2番手宋家豪の5球目134キロチェンジアップを捉えた。ライナー性の打球は左翼席に突き刺さった。濃霧を切り裂くグランドスラムは、選手会長のチームを救う一撃だった。

決定打不足を一振りで解決した。4回1死満塁では、6番ジョーンズが右飛、7番太田が空振り三振に倒れた。5回は2死満塁で4番ロドリゲスが空振り三振。首位楽天を相手に打線改造も不発…。チームにとって6回の満塁は“三度目の正直”だった。

7回にも中前適時打を放ち、自己最多の5打点と大暴れ。自身の活躍を、画面越しの愛妻へと届けた。昨年末に声優の立花理香と結婚。ただ、互いに仕事があり、東京と大阪で離れて生活している。シーズン中は、試合のない月曜日に夫人が大阪に足を運ぶ。「嫁は(野球に)うるさいんでね(笑い)。ずっと見てくれていると思います。『また振った。どうして振るの? 』とかあるので。結構、いいアドバイスくれます」と照れた。

西村監督は「あそこの1発は大きかったですね」とたたえた。レギュラーシーズンでは約20年ぶりの濃霧8回コールドで勝利したが、若月の表情は晴れやかだった。【真柴健】

◆若月健矢(わかつき・けんや)1995年(平7)10月4日生まれ、埼玉・加須(かぞ)市出身。小学1年で野球を始め、中学は加須シニアに所属。花咲徳栄に進学し、3年春に甲子園出場。初戦の県岐阜商戦で本塁打を放つも敗退。高校30本塁打。13年ドラフト3位でオリックス入団。昨季から選手会長に就任し、自己最多の138試合に出場し、リーグ最多の25犠打。昨年12月に声優の立花理香と結婚。179センチ、90キロ。右投げ右打ち。