「逆転のロッテ」がまた首位ソフトバンクに逆転勝利し、1・5ゲーム差に迫った。

美馬学投手(33)は7回4失点ながら、王者に今季3戦3勝だ。楽天からFA移籍で入団し、すっかり溶け込んだ。新天地はどんなチーム? 投手目線で感じるロッテ打線の強みは? 不調に悩む中大時代の後輩・井上晴哉内野手(31)にもエールを送り、一丸での3連勝を狙う。

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7回の美馬が、迫力に満ちた。6回に逆転されたが、7回に味方が再逆転してくれた。「1位になるためには絶対に勝たなきゃいけないチーム。直接対決で勝たなきゃつまらないですし」。3人で抑え、強力救援陣にバトンを渡す。7回100球で締めた。

ベンチへ戻りながら、背後に大きめの影を感じた。抜かされる時に“101球目”を下からすくい上げ、大きめの尻のど真ん中にバチン。「打てよ」と笑いかけると、井上は「打ちたい!」と振り返った。「いつもいっぱい打って、助けてもらっているので」。最後の力を振り絞って、愛する後輩にゲキを飛ばした。

チームが勢いづく中、井上の調子が上がらない。この日も5打数2三振。6回は一塁守備でミスが続き、3失点に直結した。「ほんと、すいません…」と謝られた。「打てていなくて焦りもあるだろうし」。愛称アジャ。頼もしいムードメーカーに成長していた後輩の苦しむ姿なんて、見たくなかった。

新天地の打線は、いつも頼もしい。「(ロッテに)入る時に(外から見ていたチームの印象を)言ったんですよ。ビッグイニングを作るのが得意って。勢いの付け方はイメージ通りです」。シーズンも半分が過ぎ「ロッテ美馬」が定着し、あらためて感じている。

「なんだろうな。強くなってきてる感じですかね。勝てる雰囲気になってきてるんじゃないですかね。流れや形ができてきている。本当にいいチームになってきていると思います」

37勝中21勝が逆転勝利。粘り強い打線は味方投手陣の心を震わせる。1点差勝ちが多いのは、投打がかみ合っている証しだ。12本塁打の井上が本調子に戻れば、ますます加速する。井口監督も「どこの打順でも必ずチャンスが回ってくる選手。自分で(不調を)打ち破らないといけない」と願う。頼むぞ、アジャ。チームやファンの思いを結集させた美馬の101球目が、井上を、ロッテを、ますます強くする。【金子真仁】

 

ロッテ井口監督(ソフトバンク戦連勝に)「まだまだ我々は上を目指していかなくちゃいけない。美馬は、初めてあんなに低めに来てるな、っていうくらい、丁寧に投げてくれました」

 

ロッテ中村奨(7回に2戦連続の決勝打となる逆転の2点二塁打)「積極的にいく結果がいい方向にいっていると思います。守備で足を引っ張っているのでしっかりやりたい」

 

▼ロッテは前日が0-2→4-3、この日が2-4→5-4と、2試合続けて逆転で1点差勝ち。これで今季の1点差試合は14勝6敗の勝率7割。両リーグ最多となる21度の逆転勝ちを記録しているロッテだが、14度の1点差勝ちも両リーグ最多。「逆転の1点差勝ち」が12度もあり、得意のパターンでソフトバンクに連勝した。