ヤクルト-阪神17回戦(神宮)で審判団と阪神矢野燿大監督(51)が激しく言い合う場面があった。8回裏が始まる直前、時折口論となりながら約5分、さらに試合後も約3分向かい合った。阪神ベンチがリクエストを要求した7回表の攻撃で、近本が外部と情報伝達したと疑われたもの。試合は1点届かず、3連敗となった。

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1点ビハインドの8回裏を迎え、矢野監督が選手交代を告げに審判団に近づいた。すると審判側から何かを言われ、次第に口論に発展。異様な光景に井上打撃コーチ、清水ヘッドコーチもベンチを出た。矢野監督の口調は次第に激しくなり、約5分にわたるシーンに球場も騒然とした。試合後も約3分間、矢野監督は審判団と話す場面があった。

試合後、指揮官は自らこの内容について説明した。「誤解というか、記者の人が、チカ(近本)に声かけて『セーフなんじゃない』と。チカが一樹(井上打撃コーチ)に『なんかセーフっぽいですよ』というのをやっていたのか、俺らは分からんよ、それは。テレビに映ったのかどうか分からないけど、審判の人が、外部からの情報の伝達みたいなことを言うから、そんなのするわけない」。発端は7回表の攻撃。小幡の本塁アウトの判定に阪神ベンチはリクエストした。そのリプレー検証中、次打者席にいた近本がバックネット裏記者席と情報伝達のコンタクトをとったと審判団から疑われた。

8回裏が始まる前に審判団からその疑義を伝えられたようだ。「審判の人も自分らが判定する前にそういうこと(セーフ、アウトを巡ることを)言われると、気分も良くないだろうし。向こうの気持ちも理解している。理解しているが、ズルすることなんかない」。矢野監督は審判団に試合後に伝えればいいのではという意見も述べた。試合後の話し合いの中で、疑われる行為に見えたことは謝罪した。

矢野監督は「最後はお互いの気持ちが理解できたかなと」と語るなど、最終的には“和解”となったもよう。責任審判の森二塁塁審は「NPBに報告するのでそれを聞いてください」と語るにとどめた。

前夜は新型コロナウイルス感染の影響で19人を入れ替え、ドタバタの中で敗れた。主力選手を欠く緊急事態下で落とせない試合は続く。4回1失点と粘ったガンケルの後、2番手として藤浪を7年ぶりに救援登板させた。終盤は得点機をつくったが、あと1歩及ばなかった。【松井周治】

◆セ・リーグのアグリーメントには、「情報のフェアな入手と利用に関する申し合わせ(2016年決定事項)」として(1)「ベンチに入ることのできる者は、監督、コーチ、選手、スコアラー、マネジャー、通訳、トレーナー、広報と定められた人だけ」とされている。さらに(2)「試合中は、(1)に定めた以外の球団職員、関係者はベンチおよび各球団が決めた区域へ出入りしてはならない。上記の関係者は、無線、携帯電話、電子機器等の情報機器を使用して、監督、コーチ、選手にその試合に関する情報を伝えてはならない」とある。