オリックスから育成ドラフト2位指名を受けた学法福島(福島)の143キロ左腕・辻垣高良投手(3年)が、夢舞台での活躍を誓った。同校の会見場でテレビ中継を見つめる中、指名が決まるとガッツポーズ。「遅くて、選ばれないのかと不安になっていたので本当にうれしかった」とストレートに喜びをあらわにした。

3年間で甲子園には出場できなかったが、昨秋の県大会では9試合85回で89三振、防御率1・05で53年ぶり優勝の原動力となった。9月に行われたプロ志望高校生合同練習会では、打者7人から5三振。すべて直球を空振りさせて奪った。直球とスライダーを軸に、巧みなギアチェンジが魅力の福島のドクターKだ。

神戸市出身の辻垣にとって、自宅から至近の、ほっともっとフィールド神戸を準本拠地とするオリックスは、最も親しみのある球団だ。子どものころから何度も観戦し、小束山小5年時には、糸井(現阪神)が客席に投げ込んだボールをキャッチしたこともある。「オリックスはやっぱり愛着ありますね。雰囲気もいいですし」。育成での指名にも前向きだ。「すごい選手がいっぱいいるので、焦らずに段階を踏んで、1歩1歩上がっていきたい。山本由伸さんと話をしてみたい」と心を躍らせた。

強豪・神戸中央リトルシニア時代は7、8番手の控えだったが、遠く離れた福島で大きく成長した。藤森孝広監督(42)は「3年間、謙虚に謙虚にやってきて成長した。今回、150キロを投げても指名されなかった選手だっている。謙虚さを土台にしながら、今度はファンを魅了する投球を学んでいってほしい」と大きな期待を寄せた。

対戦したい打者にはソフトバンク柳田と即答した。「インコースが得意な柳田さんに、あえてインコースのストレートでぶち抜きたい」と強心臓ぶりをのぞかせた。「3年間で成長させてもらった。学福に来てよかった。プロで活躍して恩返ししたい。大野雄大さん(中日)のように記録を成し遂げられる投手になって、日本を背負いたい」と大きな野望を抱き、プロの世界に飛び込む。【野上伸悟】