15年ぶりのリーグ優勝が消滅した阪神が国内FA権を保有する中日大野雄大投手(32)の獲得調査に本腰を入れることが30日、分かった。大野雄は巨人菅野を上回るリーグトップの10完投、6完封で防御率1・91を誇る竜のエース。宣言すれば、FA市場の目玉となることは確実だ。中日を含めた複数球団との争奪戦は必至。球団側はより深く情報を精査して、検討を続けていく。

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阪神が大野雄の獲得調査に乗り出す。シーズン中から今季FA権を取得する各選手の動向を注視してきたが、本命はやはり球界を代表する竜のエースだ。大野雄は昨オフに中日の複数年契約提示を断り、単年契約を結んだ。今年7月に国内FA権を取得し、今オフの動向が注目される存在だ。FA宣言となった場合、阪神は即座に獲得へ向けて動く可能性もある。

虎の補強ポイントにも合致する。今季、阪神の先発左腕は3年目高橋が自己最多5勝と奮闘も、ベテラン岩田も1勝止まり。岩貞はシーズン途中で中継ぎに再転向した。2勝を挙げたガルシアも今季限りで退団する可能性が高く、来季残留は厳しい情勢だ。先日のドラフトでは即戦力左腕のJR東日本・伊藤将司投手(24)を2位指名したが、プロの世界ですぐさま活躍出来るかは未知数の部分がある。

単純な足し算にとどまらない。昨年9月14日阪神戦でノーヒットノーランを記録した大野雄は、今季も阪神戦5試合登板で2勝2敗ながら、防御率1・51。2試合連続完封劇を演じるなど無類の強さを誇る。「戦力をそぐ」という観点からも同一リーグ最大の天敵が、自軍に加わる意味は大きい。さらに関西出身である左腕がタテジマに袖を通せば、甲子園を沸かせることは間違いない。

ハマスタから数十キロ離れた東京ドームでは原監督が宙を舞った。最後は猛追も8・5ゲーム差をつけられてゴールテープを切られた。まざまざと見せつけられたのが選手層の厚さだ。今季は18年オフにFA加入した西勇が移籍後2年連続2桁勝利。さらに秋山、青柳、高橋と続き、藤浪も復活の兆しが見える。ここに大野雄が加われば…。大野雄、西勇のWエースを中心とした投手王国が出来上がる。雪辱の来季へ。そして悲願のリーグ優勝へ。必要不可欠なピースとして調査を進める。

◆大野雄大(おおの・ゆうだい)1988年(昭63)9月26日、京都府生まれ。京都外大西では2年夏、3年春に甲子園出場(2年夏は登板なし)。佛教大に進み、10年ドラフト1位で中日入団。15年プレミア12で侍ジャパン選出。19年9月14日の阪神戦でノーヒットノーラン達成。同年防御率のタイトルを獲得した。183センチ、83キロ。左投げ左打ち。