元阪神外野手で動画クリエーターの田上健一氏(32)が10月31日、12月初旬に開催されるプロ野球12球団合同トライアウトへの参加を表明した。自身が企画、演出、編集を手掛けるユーチューブ野球チャンネル「クニヨシTV」で同日に発表した。トライアウトへの参加は阪神から戦力外通告を受けた直後の15年11月以来、5年ぶり。「まだ、もう1回参加する資格がある。チャレンジしたい」と異例の再挑戦を決断した。

田上氏は10年シーズンから6年間阪神に在籍。50メートル5秒7の俊足と広い守備範囲を武器に1軍で計123試合に出場したが、15年オフに現役を引退している。16年からの2年間はオリックスでスコアラーを務めた。18年からはスポーツ界のデータ解析で知られる「データスタジアム」のベースボール事業部に所属。20年1月末で退職し、2月にユーチューブなどの映像制作を手掛ける「ケイコンテンツ」に入社していた。

一方で、19年春から全国大会優勝経験もある軟式野球チーム「天晴(あっぱれ)」で本格的にプレーを再開。再び向上心に火がついたのだという。「動作解析などの経験をプレーに落とし込んでみたら、パフォーマンスが上がっている感覚があるんです」。動画クリエーター、さらにはオンラインサロン「天晴ベースボール大学」の講師役の活動と並行して、トライアウト参加を目指して体幹トレや打撃練習、守備練習を毎日継続してきた。

現役を引退してから5年間のブランクがある。無謀だと厳しい指摘を受けるのは承知の上で、再挑戦を決断した。懸命に体を追い込み続け、体重は現役時代の73キロからさらに絞って現在70キロだという。「やるからにはNPB復帰を目標に受けさせてもらうつもりです」。32歳がもう1度、夢を追う。【佐井陽介】

◆田上健一(たがみ・けんいち)1987年(昭62)12月12日生まれ、神奈川県出身。創価大から09年育成ドラフト2位で阪神入団。外野手として1年目の3月末に支配下選手に昇格。14年は代走、守備固めを中心に自己最多の51試合に出場した。15年限りで引退。通算123試合出場で打率2割4分7厘、0本塁打、3打点、11盗塁。現役時代は181センチ、73キロ。右投げ左打ち。