巨人坂本勇人内野手(31)が、盟友からパワーを受け取った。23日、大阪から第3戦の地・福岡へ新幹線で移動。途中停車駅の広島駅で、かつてのチームメート広島長野久義外野手(35)と偶然にも遭遇。窓越しの再会で闘魂を注入された。連敗スタートから日本一になれば、球団では「ON決戦」だった00年以来20年ぶり。キーマンとなるキャプテンは、大ヒットドラマ「半沢直樹」のセリフで反攻を誓った。

   ◇   ◇   ◇

新大阪駅から決戦の地、博多へ出発して約1時間20分。新幹線が広島駅に到着した直後、車内がザワザワし始めた。ふと、ホームに視線を向けた坂本の目に映ったのは広島の長野だった。事前の連絡もなく、理由やなぜそこにいるかも不明。ただ、底抜けの笑顔で手を振り続ける姿を目に焼き付け、闘志が湧き上がるとともに沈みかけた心も上がった。

「チョーさんがいる」。日本シリーズ2試合を戦った疲労から、眠りにつく選手もいる中で菅野ら同じ車両に乗り合わせたチームメートへと伝えた。「えっ? 何で?」と驚きながら、伝言ゲームのように長野の存在が伝わっていく。時間にすれば1~2分ほどだったが、一通り手を振った後、忍者のようにホームの陰に消えた。

坂本はスマートフォンを手に取って、メールで感謝を伝えた。長野が巨人時代には「サカチョー」と称され、12年にはともに最多安打を獲得。アベック弾は13度を数えた。広島出発後、駅にいた理由について、長野は「えっ? 行ってませんよ」とけむに巻いた。偶然なのか、待っていたのか。ともかく、長野が笑顔で手を振る姿に元気をもらったのは確かだった。

約3時間後、ペイペイドームで全体練習に臨んだ。ノックでは声で盛り上げ、フリー打撃では快音を響かせた。連敗で迎える第3戦に向け、広報を通じ「やられたら、やり返す。倍返しだ!」とドラマ「半沢直樹」のセリフで巻き返しを宣言。「食事会場でとんこつラーメンを食べて、英気を養って明日の試合に備えます」と好物のラーメンも力に変える。【久保賢吾】

◆00年巨人は連敗から日本一 日本シリーズでホーム連敗スタートから逆転Vは、80年広島(対近鉄)00年巨人(対ダイエー)11年ソフトバンク(対中日)の3度しかない。00年巨人は長嶋巨人と王ダイエーの「ON対決」になり、巨人は東京ドームで連敗スタート。福岡ドーム(現ペイペイドーム)に移った第3戦で高橋由、松井のアベック弾など14安打、投げては先発上原が8回3失点(9奪三振)で9-3と快勝し、流れを変えて第6戦まで一気に4連勝した。