名将の金言を胸にプロでも輝く! ロッテのドラフト1位、法大・鈴木昭汰投手(22)が、横浜市内のホテルで契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1600万円で契約に合意した。常総学院(茨城)で甲子園に3度出場し、ドラ1左腕に上りつめた男の原点には、11月24日に死去した木内幸男さんの教えがあった。

鈴木は1度だけ「木内マジック」を体験した。高校3年の春、出張で不在だった佐々木力監督(当時)に代わって、元監督だった木内さんが練習試合で臨時で指揮を執った。先発を託された試合開始直前、マウンドで投球練習を行っていると、突然降板を言い渡された。「適当に投げてしまったというか…。『準備ができていない』と言われて交代しました」。試合に臨む心構え。日ごろの練習から考えながら投げるようになり、野球以外でも準備を大切にするようになった。

ときおりグラウンドに姿を見せていた木内さんを振り返り「怒られてばっかりでした。あいさつに行くと『お前はまだダメだ』っていう感じで言われてました。甲子園を決めた時に初めて褒められました」としのんだ。反骨心で練習に打ち込み続けた高校時代。法大に進み、最速153キロ左腕にまで成長した。

「茨城の高校野球と言えば木内さん。特別な存在です」。名将の教えを原点として、プロでは信頼される投手を目指す。先発でも、リリーフでも、与えられた場所で投げ抜く。天国で豪快に笑ってくれるように。プロの舞台で恩返ししていく。【湯本勝大】