中日の与田剛監督(55)は5月31日、育成契約の山下斐紹捕手(28)と支配下選手契約を結び、6月1日に出場選手登録すると明かした。

昨オフに楽天を戦力外となった山下は今季入団し、ウエスタン・リーグで35試合に出場して打率2割4分1厘、5本塁打、14打点と打撃好調。指揮官は「長打力も含めて打撃のうまさは持っている。攻撃陣の強さをどんどん増してもらいたい」と起爆剤として期待した。

「日本生命セ・パ交流戦」で首位の中日は1日から本拠地で2位ロッテと3連戦に臨む。与田監督は名古屋へ移動する前に新千歳空港で取材に応じ「山下と石橋を入れ替える」と明言し、その後、石橋康太捕手(20)を出場選手登録から外した。山下は1日に記者会見した後、ベンチ入りする見込みだ。

ウエスタン・リーグで規定打席に届いていないものの、5本塁打はトップのソフトバンク・リチャードと2本差。強打に加え、捕手と一塁を守れ、与田監督は楽天2軍投手コーチだった18年に入団した山下を「アグレッシブな選手」と理解している。今後の起用については「(福留)孝介や福田、ビシエドも状況によってはDHも考えている。いろんな選択肢が増える」と説明。8日から楽天、西武と敵地6連戦が控えており、福留とのDH併用や「DHビシエド、一塁山下」など構想の一端を示した。

中日の交流戦最高成績は4位。防御率1位の柳や小笠原ら先発陣、代役守護神で4セーブの又吉ら安定する投手力を背景に、強化した打線で首位をひた走る。【伊東大介】

◆中日の捕手陣 主戦は木下拓で、2番手の桂が福谷とバッテリーを組んで2戦2勝と頭角を見せている。石橋が1軍から外れ、山下は3番手としてだけでなく代打や一塁、DHと幅広く起用されそう。2軍では大野奨、加藤、郡司がしのぎを削っている。強打の外国人捕手として注目されたA・マルティネスは上肢コンディション不良で実戦復帰のめどが立っていない。

◆山下斐紹(やました・あやつぐ)1992年(平4)11月16日生まれ、北海道出身。習志野から10年ドラフト1位でソフトバンクに入団。17年オフにトレードで楽天に移籍。20年オフに戦力外通告を受け、中日に育成契約で入団した。捕手以外に内野、外野にも挑戦。通算119試合出場で打率1割9分9厘、5本塁打、15打点。179センチ、93キロ。右投げ左打ち。