交流戦Vはオリックスだ! オリックスが、10年以来11年ぶり2度目となる交流戦優勝を果たした。

勝っても負けても、次なる得策を練る。オリックスは交流戦17試合で同一オーダーを組んだことはない。中嶋監督は常々「全員が戦力なので。より良い状態を見極めて。ベストな状態を探していく」と話すように、スタメン表は一部が日々変化する。

救援陣も固定化しない「日替わり継投」で豊富なバリエーションを披露してきた。守護神には今季メジャーから古巣に4年ぶり復帰した平野佳が君臨。救援陣は、能見投手兼任コーチを筆頭に、ヒギンス、富山、K-鈴木、山田、村西、漆原、比嘉、沢田らでリレーをつないできた。

先発陣も充実している。山本は交流戦3試合に先発して3勝。高卒2年目左腕の19歳宮城も2勝と続き、山岡、田嶋、山崎福、増井も1勝ずつと役割を果たしてきた。

“ささやき戦力アップ”も効いている。中嶋監督はNPB最長となる1軍実働29年の捕手出身監督。就任当時からの「対話重視」は変わらない。ラオウこと杉本は状態が上がらず悩んだ時期に「(監督に)年間を通してずっと良い状態が続くわけがない。誰でも絶対、疲れてきたり感覚がおかしくなるときがある」と言われ、心が楽になった。「調子が良いときは、そっとしてくれて。悪くなったときに、僕が言って欲しいことをいつも言ってくれる。精神面も打撃面の技術も。いつも、本当にありがたいです」と感謝を忘れない。

中嶋監督は試合前練習でも動き回る。外野グラウンドで練習する投手陣と談笑すると、ノックを受ける外野手や打撃マシンでバント練習する選手たちに積極的に声かけをする。19歳遊撃手の紅林が「監督のために恩返しがしたい」と話すように“マスク越し”のささやき効果は抜群。試合中のベンチでは自軍の得点に歓喜し、両拳を突き上げたかと思えば、冷静にペンを持ってメモを取る姿に、選手たちは奮起する。

これで引き分けを挟み、今季初の5連勝で、貯金を2とした。交流戦Vを自信に、ペナントレースでも96年以来、25年ぶり悲願の優勝へ-。胸の鼓動を高鳴らせる。誰かが誰かを助け、全員で勝ち進む。【真柴健】

▼オリックスが10年以来、2度目の交流戦優勝を決めた。オリックスは昨年のパ・リーグ最下位で、今季の交流戦前は18勝22敗7分けの勝率4割5分。前年リーグ最下位球団が交流戦で優勝は09年ソフトバンク、10年オリックス、18年ヤクルトに次いで4度目となり、交流戦開始前の勝率は18年ヤクルトの3割9分5厘、10年オリックスの4割2分1厘に次いで低い。オリックスは2度とも前年最下位で交流戦開始前に負け越しからの優勝だった。