ロッテの植田将太捕手(23)が30日、球団と支配下選手登録を結んだ。背番号は125から「95」に変更となる。

努力が報われた。慶大3年冬、痛み止めの注射も効かなくなるほど、右肘痛が悪化した。セカンドスローもできない。正捕手郡司(現中日)の陰に隠れ、大学時代はリーグ戦通算で1安打のみ。就職活動に奔走する仲間がいる中でも、トミー・ジョン手術を決意した。

「野球、好きなので。大学でも郡司が試合に出ていて不完全燃焼で、悔しい思いが強かったので、上で活躍して見返してやろうくらいの気持ちでした」

プロ2年目の今季、出番が巡ってきた。1軍の正捕手田村が故障離脱し、吉田も故障、柿沼もコロナ禍で療養に入り、開幕1軍入りを果たした3捕手がいずれも戦線離脱する状況に。2軍のイースタン・リーグでは植田以外に本職の捕手がいない、という状況にもなっていた。後に中日から移籍で加藤が加入したが、球団はすぐの補強をせず、植田1人に2軍戦が託された時期もしばらくあった。

「試合に出させてもらっている責任感、勝ちに対する責任感が今までと違うというか、より強く感じるようになってきました」

「ここでチャンスをつかまないといけないというのは強く思っていますね。2軍で目立って結果を残して、何とか支配下になれるようにやっていきたいです」

5月に日刊スポーツのオンラインインタビューで熱く語った植田に、大きなチャンスが訪れた。五輪でのシーズン中断による、例年にはないエキシビションマッチ。1軍の井口資仁監督(46)は「植田も2軍で頑張っていましたから」と背番号125の植田を遠征メンバーに抜てきした。「スタメンはないと思いますけどね」との言葉は、試合終盤のマスクを任せられるかの試験を予感させた。

少ないチャンスに全力で向かった。甲子園での初安打。文句なしの安打でも全力で走り、次の塁を伺おうとした。成功も失敗もあったが懸命に試合終盤をリードし、強肩も見せた。

「今までやってきたことを結果として出して、いち早く支配下にしてもらえるようにやっていきたいです」と意気込む植田について、井口監督も「スローイングは安定してますし、キャッチングも含めてしっかりどっしりしてます。何とか8月以内に支配下になってくれるくらいまでになってほしいなと思います」とコメントしていた。

2位で8月末を迎え、逆転優勝へ突っ走る。ますますタフな戦いになる。その中で植田は、井口監督の期待に応えた。イースタン・リーグで出場した直近5試合は、打率4割1分2厘。プロ初本塁打も放った。30日時点で、今季イースタン・リーグ開幕からの盗塁阻止率は、5割5分を超えている。

晴れて2けたの背番号をつかんだ植田はこの日、球団を通じて「とてもうれしい気持ちと、周りの方々に支えられてここまでこれたという感謝の気持ちでいっぱいです。ここからがプロ野球選手としての本当のスタートなので、長く野球ができるような選手になりたいと思っています」とコメントし、気持ちを新たにした。【金子真仁】