ロッテが本拠地ZOZOマリンで通算1000勝目を挙げた。92年4月7日の1勝目から始まり、通算1970試合目で節目の勝利だ。

FA移籍で入団2年目の美馬学投手(34)が7回1失点でメモリアル白星を手にし、チームは今季3度目の5連勝。首位オリックスにも1・5ゲーム差に。逆転優勝へ、勝負の9月に向かう。

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珍しく、海風を感じない夜だった。月は黒雲に隠され、らしくないZOZOマリン。しまいには雨も降る中で27個目のアウトを取ると井口資仁監督が、選手が、ファンが、無数のガッツポーズで喜びを表現した。

「1000勝までの歩みには、応援をしてくださるファンの皆様やそれぞれの時代の球団、チームのメンバーなど多くの人々が関わっています。皆様が作りあげてきた勝利が積み重なり、本日この日を迎えることができました」

若貴フィーバーに列島が包まれる92年1月、千葉銀座通りでのお披露目パレードから歩み出した。球団名は公募した。約9000通が集まった「マリーンズ」に決定。カラーコーディネーターも加え、ユニホームや球団旗を一新した。イメージカラーは斬新なサンライズピンク。オレンジや紫の案もあったとされる。

92年の開幕戦、スタンドはピンクのメガホンで埋まった。その時、お隣の茨城県に暮らす美馬学少年はまだ5歳半。「野球は始めてましたね。まだ全然、ロッテとかいう認識はなかったかな…。ちっちゃい時は、とりあえず巨人しかテレビでやってないし」。

縁あって、今は千葉で腕を振る。楽天からFA移籍し2年、この日の白星で移籍後のマリン10勝目になった。「うれしいですね。率直に。良いタイミングで投げさせてもらって、それで勝てたというのも良かった。ほとんどここで勝っているんじゃないですか」と笑顔もこぼれる。

キューバで育った助っ人マーティンも、3打点でメモリアルに導いた。92年当時を知る人は数人。時代時代で多くの人が交わり、千の白星を積んだ。夏の終わり、首位猛追へ弾みをつける5連勝。井口監督は「ZOZOマリンは最高のホームスタジアムです」と胸を張る。残り1カ月少々。目指すところは優勝、ただ1つ。ロッテには強い風が吹いている。【金子真仁】