札幌6大学野球リーグ、北海学園大の鈴木大和中堅手(4年=北海)が16日、プロ志望届を提出した。50メートル走5秒8の俊足を生かした走塁と広い守備範囲が武器で、今春は30年ぶりの全日本大学選手権出場に貢献した。高校2年時の16年夏に甲子園準優勝を経験したスピードキングが、同大からは15年西武2位指名の川越誠司外野手以来、2人目のプロ入りを目指す。

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北の韋駄天(いだてん)がプロへの道を思い描く。16日に志望届を提出した北海学園大・鈴木は「(ドラフト会議で)指名されるかは分からない。でも足では勝負できると思っている。自分は微妙なラインだが、残りのリーグ戦でもアピールしていきたい」と強い口調で話した。

走力はプロ選手の中に入ってもトップレベルだ。昨秋、チームで計測した一塁到達タイムは3・83秒、二塁到達7・34秒、三塁到達が10・62秒だった。「サニブラウン・ハキームに勝った男」として有名な左打者の日本ハム五十幡の三塁到達が10・6秒台。多少の誤差はあったとしても、右打者で同レベルの速さで三塁到達できるのは相当の脚力だ。ソフトバンク周東、ロッテ和田ら快足選手が脚光を浴びる場面が増え「足を生かせる雰囲気はある。そういう道で生きて行けたら」と力を込めた。

以前はプロ志望はほとんどなく、今年3月までは大学卒業後に本州の軟式チームに入る予定だったが、コロナ禍の影響で採用がなくなった。気を取り直して臨んだ春のリーグ戦で優勝。30年ぶりの全日本大学選手権出場を果たし「もっと上でやってみたいと思うようになった」。DeNA阪口だけでなく、志望届を提出済みの富士大・佐藤大雅捕手(4年)ら北海高の同期にも刺激を受けている。

特長が明確で、NPB3球団から調査書が届いている。今秋のリーグ戦は15日までの5試合で14打数5安打2盗塁をマーク。残り4試合でチームは現在2位。「最後のリーグ戦は足だけでなく課題の打撃面でも結果を出し、主将として、もう1回全国に行きたい」。大学ラストシーズンを全力で駆け抜け、道を切り開く。【永野高輔】

◆鈴木大和(すずき・やまと)1999年(平11)4月27日、北広島市生まれ。北広島大曲東小2年から野球を始める。北広島大曲中では札幌豊平ボーイズに所属。北海では中堅手で2、3年時に夏の甲子園出場。準Vの2年夏は9番で全5試合に出場。決勝で作新学院・今井達也(現西武)から2安打1打点など27打数14安打、5割1分9厘。北海学園大では1年春のリーグ戦から出場。2年春、3年秋にベストナイン。遠投100メートル。家族は両親と兄。173センチ、73キロ。右投げ右打ち。

◆プロ志望届提出状況 16日現在、北海道の大学・高校からは計10人が提出し、全日本大学野球連盟および日本高野連のホームページで公示されている。大学は16日に北海学園大・鈴木のほか東海大北海道・山彰太投手が提出し計4人となった。高校は16日に札幌日大・前川佳央投手が提出し、北海・木村大成投手、旭川実・田中楓基投手らも含め6人。提出者がドラフト会議(10月11日)の指名対象となり、2週間前の今月27日が提出期限となる。