慶大のスピードスターがドラフト戦線に名乗りを上げた。今秋「1番」に座る渡部遼人(はると)外野手(4年=桐光学園)が、東大2回戦で先制の2点適時三塁打を含む3安打を放った。前日の1回戦に続く2試合連続3安打&1盗塁で、連覇を狙うチームの連勝スタートに貢献。視察するスカウト陣も目を見張った。

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右中間を破る打球に、渡部遼はぐんぐん加速した。2回2死二、三塁で東大・奥野から先制の2点適時三塁打。あるスカウトは「二塁までのタイムを測ったら8秒を切っていた。速い」と舌を巻いた。50メートル走5秒9の足を見せつけた。

慶大のドラフト候補といえば、リーグ通算10本塁打の正木智也外野手(4年=慶応)が真っ先に挙がる。そこに、渡部遼も加わった。「日本で一番高いレベルでやりたい」と優勝した今春の大学選手権後にプロ志望届を出すことを決めた。東大戦2試合で2つ上乗せした盗塁は通算20に。成功率100%を誇る。広い守備範囲と合わせ、俊足をプレーにつなげている。

選手権で首位打者となるなど打力も向上。冬場、正木と一緒に打撃練習に取り組んだ成果だ。世田谷西シニア時代のチームメート。高校は神奈川のライバル。そして、今はともに連覇を目指す同志だ。「監督だけじゃなく、正木もインサイドアウトを教えてくれました」とアドバイスを生かし、スイング軌道を見直した。前日に3安打しても「重心が下がりすぎていた」と気を緩めず、修正を続けた。たゆまぬ努力で、プロ入りも、連覇も、かなえるつもりだ。【古川真弥】