2軍調整中の阪神佐藤輝明内野手(22)が今週中に緊急昇格する可能性があることが20日、分かった。21日から中日、巨人と続く敵地での6連戦に臨む。矢野監督は21日の昇格を見送ったが、得点力不足が続いて23本塁打のルーキーを早期合流させる選択肢は消えていない。首脳陣はチーム状況と佐藤輝の状態を照らし合わせながら、22日以降の昇格を判断していく。2位ヤクルトが広島に引き分け、阪神は21日の結果次第で首位から陥落する。

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低迷する打線の起爆剤として、佐藤輝が1軍に帰ってくるかもしれない。矢野監督は「すぐ上げようと思ってない」と21日中日戦での再昇格を見送った上で、「状態を今みたいに上げていってもらえたら『上げたいな』とまた思ってくるんで、その時に考えます」と含みをもたせた。投手と野手、オーダーのバランスや対戦相手、そして佐藤輝の状態など複数の要素をかけ合わせて、首脳陣によるシミュレーションは続いており、この6連中も含めて昇格時期を探っている。

チームは直近10試合で平均2・3得点。1番近本、2番中野の後は日替わりで、8パターンの打線を組んだ。指揮官は「4番以降の状態がみんな上がってこないんで、何とかやりくりしたいんやけど」と悩める胸中を明かしていた。この間は4勝5敗1分けで、特にここ5試合は1得点以下が4試合。得点力が乏しくなる中で何とか持ちこたえているだけに、すぐにでも起爆剤となる一手が欲しいところだ。

開幕から強打で貢献してきた佐藤輝は不振のため2軍落ちしたが、19日のウエスタン・リーグ中日戦では5打数4安打3打点と打ちまくった。試合後は「いつでも上に呼ばれたらいける準備はしている。しっかり自分のやることをやって、その場所でやっていきたい」と心構えができていた。3年ぶりのリーグ優勝にマジック4としている2軍は21日から広島3連戦(由宇)。ここでも結果を残し、即「昇格コール」が鳴ってもおかしくはない。

さらに佐藤輝の昇格を後押ししそうなデータもある。24日から巨人と戦う東京ドームでは、35打数14安打で球場別最高の打率4割を誇っている。後半戦の3発も全て同球場で、8月19日DeNA戦では球団新人最多の23号を左翼席にたたき込んだ。敵地ながら「わが家」のように暴れ回ってきただけに、リスタートの舞台にうってつけの予感だ。

チームはこの日、小野寺を出場選手登録から外し、1軍枠に1つ空きができた。2位ヤクルトと1・5差ゲーム差で迎える大事な1週間。大型ルーキーの1軍復帰ウイークとなる可能性は高そうだ。

▼阪神は今季、長年にわたり苦戦するドーム球場で健闘。バンテリンドームでの中日戦で4勝5敗、東京ドームでの巨人戦では3勝3敗で計7勝8敗。例年のようには大きく負け越していない。バンテリンドームではチーム防御率2・61で、他球場での3・66から1点以上も良化。また東京ドームではチーム救援防御率が1・42で、他球場4・40を大幅にしのぐ。投手戦に持ち込みたい。

▼21日に阪神●でヤクルト○のとき、阪神は2位に陥落する。このとき阪神は62勝48敗5分けで勝率5割6分4厘、ヤクルトは55勝42敗15分けで5割6分7厘。貯金は阪神14に対しヤクルト13で、ヤクルトは2位阪神にマイナス0・5ゲーム差の首位となる。