亜大が駒大に勝利し、13年秋以来の開幕3連勝を飾った。

亜大の「昭和の野球」が神宮で躍動した。出塁すると手堅く犠打で送り、7つの犠打を決めた。3回、無死二、三塁では、二塁、三塁走者が同時にスタートを切りエンドランで先制の機を狙った。生田勉監督(55)は「うちは打てない。貧打打線では作戦がないですから」と、たどり着いた作戦が、この「昭和の野球」作戦だ。「今年の神宮の芝は重いので、球が上に跳ねない。内野ゴロで1点が取れない。どうやって得点するかと言えば、スクイズかエンドランなんです」。この日の試合では決まらなかったものの、この夏は何度も練習を重ね、試合に備えた。

打者も相手投手攻略に徹した。第1週で2試合完投勝利を収めている駒大・先発の福山優希投手(3年=八戸学院光星)に対し「5回までに100球を投げさせる」と作戦。打者1人1人がボールを見極め、ファウルで粘った。福山は5回途中で降板。狙い通り攻略した。

生田監督は「選手たちには、もう1度『昭和の野球をやらせてくれ』とお願いした。負けたら自分のせいだから、と」。打者の粘りに、走者は積極的に前の塁を狙う。相手バッテリーに与えたプレッシャーは大きかった。

亜大野球に徹する攻撃陣に対し、先発したドラフト候補のエース・松本健吾投手(4年=東海大菅生)も応え、力強い真っすぐと変化球と緩急で駒大打線を3安打1失点に封じ込め、今季初勝利を挙げた。松本は「今日はリズム良く投げることを意識していた。変化球をうまく投げられたのが大きかった。今日は何としてもチームを助けたかった」とエースとして、意地の投球を見せた。

亜大が開幕3連勝を達成した13年秋は九里亜蓮投手(現広島)、山崎康晃投手(現DeNA)を擁し、7連勝でリーグ優勝を果たしている。幸先いいスタートを切った亜大。ドラフトを目前に控えているが、松本は「正直なところ、今は(ドラフトのことは)あまり考えている余裕がありません。リーグ戦に集中しています。今は結果にこだわってやっていきたい」と、前を向いた。