ソフトバンク石川柊太投手(29)が悪夢を振り払った。2戦前の11日日本ハム戦(札幌ドーム)ではプロ最短の2/3回を自己ワースト10失点(自責3)。開幕投手も務めた男のまさかの大炎上から2週間。

福岡で同じ相手に6回途中2失点で今季6勝目を挙げ、リベンジを果たした。

悪夢からの1週間は、その投球を何度も振り返った。「体より、心の整理に時間を使いました」。だが迎えた19日楽天戦(楽天生命パーク)の登板は、5回2失点にまとめたものの、2四球2死球と荒れた。「前々回(11日)の登板を深掘りしすぎた。余計なことを意識してしまって、どうしようもなかった」。もがけばもがくほど、沼にはまっていくようだった。

そこからさらに1週間。工藤監督の「シンプルにいけ」という助言もあり、石川は新たな境地に達した。「『ああいう日もあるんだな』というのを自分の中で持てるようになった。打たれるときは打たれるし、真ん中でも抑えることもある」。状態は悪くなかった中で、不運な当たりでの安打や味方の失策も重なった。時間がたち、冷静に振り返ることで、ポジティブな「開き直り」の精神にたどりついた。

2週間前と同じオーダーを相手に、初回から3者連続三振と、打てるものなら打ってみろと言わんばかりにテンポよくストライクを投げ込んだ。終わってみれば今季3度目の2桁奪三振で、5試合ぶりに死球を出さなかった。石川の快投で3位楽天には再び2ゲーム差に迫った。【山本大地】

◆ソフトバンク中村晃(2回に8月31日の楽天戦以来の適時打)「いい流れの中で打つことが出来た。頑張って応援してくれている人のためにも頑張って結果で応えていきたい」