西武の次期監督に松井稼頭央2軍監督(45)が急浮上していることが5日、分かった。

西武はこの日のロッテ戦で敗れ、リーグ優勝の可能性が完全消滅。2連覇を果たした19年以来2年ぶり制覇の道が閉ざされた。現在5位で3位とのゲーム差も9と、辻発彦監督(62)が就任5年目で初のBクラスが極めて濃厚な状況。再建のために新体制案が検討されている。

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Bクラスから脱却へ、松井2軍監督が新指揮官に託される可能性が出てきた。5日に今季のリーグ優勝が完全に消滅。さらにクライマックスシリーズ進出圏内の3位とも9ゲーム差と苦戦を強いられている。残り15試合での挽回は困難を極め、辻体制5年目で初のBクラスが濃厚。就任から打ち勝つ野球で勝利をもたらしてきた辻監督は、ここ2年、打撃力不足に苦しんだ。今季もチーム打率、得点はいずれも5位と低迷の要因となっている。

再建には山賊打線復活が必要不可欠となる。かつてクリーンアップを担った山川、外崎ら実力者が、負傷離脱もあって不振が続く。現有戦力の実力を発揮できれば、打線に破壊力が戻ってくる。また、FA移籍で主力が流出した際、若手台頭がお家芸だった。今季はプロ6年目の呉念庭が成長。さらなる若手の頭角を促すために、松井2軍監督はこれ以上ない適任といえる。

18年限りで西武で現役引退し、翌19年から2軍監督に就任した。すでに3年間の「監督経験」を積み、若手の潜在能力は熟知。イースタン・リーグでの今季を総括した際には「今年は特に野手が非常に若い選手ばかりでしたが、前半に比べて後半は成長が見られました」と手応えを語った。ドラフト1位渡部を主軸で起用し、本塁打と打点でイースタン打撃2冠を達成。「一振りで流れを変えられる打者ですから。4番打者としてまだまだ勉強することはありますが、これはひとつ自信にして欲しいところです」と未来の大砲に期待していた。

何よりも、選手での実績は十分だ。PL学園から西武入りし1年目から両打ちに挑戦。高い身体能力を開花させ、2年目から1軍定着。02年には打率3割3分2厘、36本塁打、33盗塁でトリプルスリーを達成した。走攻守全てがトップレベルにあり、遊撃手の概念を変えた。03年オフに海外FA権を行使。内野手として初めて日本球界から米メジャーに移籍し、メッツ、ロッキーズ、アストロズで計7シーズン躍動した。09年には日米通算2000安打を達成したレジェンドだ。

球団は渡辺GMのもと、順位が確定次第、松井2軍監督の内部昇格を最有力候補にし、コーチ人事を含め組閣案をまとめる見込み。V奪還へ大きく動きだす。

◆松井稼頭央(まつい・かずお)1975年(昭50)10月23日生まれ、大阪府出身。PL学園から94年にドラフト3位で西武入り。盗塁王を3度、最多安打を2度獲得。02年には打率3割3分2厘、36本塁打、33盗塁で史上8人目の「トリプルスリー」を達成。04年に日本選手の内野手としては初めて米大リーグに移籍。11年から日本球界に復帰して楽天でプレー。15年にNPB通算2000安打を達成。18年にコーチ兼任で西武に復帰し、この年限りで現役を引退した。19年から西武2軍監督。NPB通算成績は1913試合に出場し2090安打、201本塁打、837打点、363盗塁、打率2割9分1厘。MLB通算は630試合出場、615安打、32本塁打、102盗塁、打率2割6分7厘。右投げ両打ち。