オリックスが、執念ドローをもぎ取った。1点を追う8回2死一、二塁でスティーブン・モヤ外野手(30)が、本塁打を除けばチーム5試合ぶりとなる中前適時打で同点に追いついた。

先発したエース山本由伸投手(23)は、6回4安打1失点と粘投。球団新記録となる自身15連勝はお預けも、2位ロッテが敗れたためV争いで前進。条件次第では、最短17日に優勝マジック4が点灯する。

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ため息続きのオリックスファンに、笑顔が戻った。1点を追う8回2死一、二塁で、モヤが同点打を放った。札幌ドームの右翼席、縦ブロック3列に座るバファローズのユニホーム姿の観客は、手をたたいた。

モヤは「こういう展開のゲームだったし、とにかく追い付くことを意識していた」と振り返った。価値ある適時打だった。チームは10日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)の初回に杉本が適時打を放って以降、本塁打を除けば51イニング適時打がなかった。なかなか打線がつながらず、中嶋監督は「詰まった当たりでもヒットで1点取れるというのは良いと思う。(ヒットは)きれいなことばかりじゃない」と、シーズン最終盤で打席内容よりも結果を求めていた。

モヤの同点打に、ベンチ裏に下がっていた山本も「もちろん、うれしいです」と喜んだ。ただ、この日の状態を「結構、良くなかった」と振り返るように、制球を乱す場面もあり、6回116球4安打1失点で降板。「1失点でまとめたことは良いことだと思うんですけど、最後(6回)にピンチでタイムリーを打たれて悔しい」とロドリゲスに浴びた適時打を反省した。

ただ2位ロッテが敗れ、ゲーム差は1に広がった。最短で17日に、オリックスに優勝マジック4が点灯する可能性がある。山本は「そのチャンスがあるなら、チームメートに期待したいです」と仲間を信じた。

残り5試合。シーズン最終戦まで優勝争いがもつれれば、次回は25日楽天戦(楽天生命パーク)での先発登板が濃厚。「どんどん緊張感のある1球になってくる」と話しながらも「楽しさはすごく大きい」と目を輝かせた。自身の連勝記録はお預けとなったが、エースナンバー、背番号18の役割は十二分に果たしている。【真柴健】

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