今季限りで現役を引退する巨人野上亮磨投手(34)は、ブルペンで「投げ込みの鬼」として知られた。春季キャンプ中は多い時で1日400球。球数制限が叫ばれる今、ほぼ見なくなった数字をブルペンで刻んだ。

西武時代には、同じく「投げ込みの鬼」だった牧田和久との“対戦”が、春季キャンプの風物詩の1つだった。11年には牧田が301球を投じ、野上が329球で28球上回った日があった。かつて、牧田との投げ込みについて、野上は「牧さんが終わらないので、僕も負けられないなと思った」と笑顔で話していた。

昨年、2人に「ブルペンとは?」と聞いた。牧田は「試合で結果を出すために準備する場所ですね」と言った。野上は「試合で100球とかを超えて、へばった時にいかに力感なく投げられるかの練習。特に、この時期は感覚をつかむのが大事」と説明した。競い合う中にも、確固たる理由が存在した。【12~13年西武担当=久保賢吾】