魂の快投だ。オリックス田嶋大樹投手(25)が、ロッテ打線をねじ伏せた。散発3安打に抑え、二塁を踏ませず6回無失点。シーズンでロッテから3勝(1敗)を挙げた左腕は「めちゃくちゃ集中できていた。しっかり3人、3つアウトを取ろうとしか考えていなかった」と、77球で日本シリーズ進出に王手をかけた。

投球に集中しながら、瞬間を楽しんでいた。「楽しみの方が大きくて、緊張はシーズンよりしなかった。だから初回から力強い球を投げられたのかなと思います」。先頭打者を塁に出したのは2回と6回。2回はエチェバリアを遊ゴロ併殺に打ち取り、6回は加藤のバントを処理した伏見が二塁に送球して一塁走者をアウトに。試合をつくった好投を野手が支え、杉本が決勝2ランで報いてくれた。

プロ4年目で自己最多の8勝。「フォームを固定しなかった。自由な投げ方」がキャリアハイにつながったと振り返る。「毎日同じ筋肉の状態じゃないし、体のバランスも違う。(体の)重さも違うし、気持ちも違う。最善のフォームはどれかなと毎日探してやっている」と、朝起きたときから試行錯誤を続ける。ただし「どんな投げ方をしても、ちゃんと投げられるか。そこが勝負」。日々の違いを埋めていけるだけの技術を身につけ、年間ローテーションを守り抜いた。

CS、プレーオフの2試合連続完封勝利は、リーグ初の快挙だ。1万7913人の声援に応え、勝利投手は「何か1つでも元気というか、1歩踏み出せる力というか、そういうふうな野球をしていきたいので明日以降もよろしくお願いします」と、心に残るフィナーレを約束した。【堀まどか】

◆田嶋大樹(たじま・だいき)1996年(平8)8月3日生まれ、栃木県出身。佐野日大では甲子園出場。JR東日本から17年ドラフト1位でオリックス入り。2年連続で規定投球回に到達した今季は自己最多8勝(8敗)で防御率3・58。通算66試合で21勝21敗、防御率3・80。背番号29。今季推定年俸4200万円。愛称はタジ。読書が趣味で最近は必要最低限の物しか持たないライフスタイルを指す「ミニマリズム」の本を読み、自宅をすっきりに。182センチ、78キロ。左投げ左打ち。

▽オリックス伏見(先発マスクで2戦連続完封)「抑えるカギは荻野さんの出塁と両外国人の長打、CSで活躍していたエチェバリアと山口。特にマーティンに仕事させていないのがポイントになっている。いまのところうまくいっている」