広島大瀬良大地投手(30)が今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せずに残留することが17日、分かった。提示された条件は3年の複数年契約で総額8億円程度とみられる。今季2年ぶり5度目の2桁勝利をマークした右腕の動向には他球団も注目していたが、広島愛を貫いて早期決着となった。18日にも正式発表される。(金額は推定)

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大瀬良らしい、誠意の示し方だった。他球団も動向に注目した広島のエースは、FA申請期間(日本シリーズ終了日翌日から)を待たず、広島残留を決断した。複数回にわたって交渉を続けてきた球団に対し、早期決着で応えた。提示条件は3年契約の総額8億円程度とみられる。16日に主砲鈴木誠のポスティングシステムでの米大リーグ挑戦が発表されたチームに、今度は朗報が届くことになる。

今季は右ふくらはぎ痛と急ピッチで復帰した反動もあり、前半戦は3勝3敗と苦しんだ。それでも後半戦は追い上げを見せたチームをけん引。2年ぶり2桁10勝もマークした。アクシデントがありながらも、クオリティースタート(QS)20度はリーグトップタイ。QS率87%は同単独トップの安定感だった。

チームへの貢献度は成績だけではない。戦線離脱中も、1軍にいた森下や床田らから連絡を受け、相談に乗った。1軍に上がれば、経験の浅い若手が自然と集まり、悩みを打ち明けた。立場だけではなく、人柄が自然とチームメートの信頼を集めた。

「僕のモチベーションは、常にチームのために行動すること」

黒田博樹氏の背中を追い、いつからか自分のことよりもチームのことを考えるようになった。入団時から育んだチームへの愛と献身、そして常に持ち続けた感謝の気持ちに、エースとしての責任感も加わった。自分のことよりも、チームのために投げられる球団は、ひとつ。来季以降も大瀬良は、広島のために右腕を振る。