オリックスは「アラフォー」救援トリオの意地が光った。延長11回、先頭で日本シリーズ2本塁打の大砲村上を迎えると、中嶋監督は左腕の能見兼任コーチを投入した。平行カウントから低めフォークで左飛。プロ17年目の技は健在だ。

「自分のできることを頭に入れていた。1発だけは避ける。後ろにいい投手もいます。状況判断というか、四球と本塁打はダメ」

阪神時代の14年以来、7年ぶりの日本シリーズ登板で、鮮やかなワンポイントリリーフ成功。全盛期と変わらずマウンドで表情を変えず、厳しい勝負の世界で生きる男の真骨頂だった。

42歳でホールドをマークした能見はこうも言う。「終盤は特に助け合いになるので」。阪神で長く先発として活躍し、救援に転向して4年目。重みのある言葉はベテラン左腕の心意気だ。1死後、気持ちを継いだ38歳の比嘉もサンタナを外角低め速球で見逃し三振。つけいるスキを与えない。

10回は37歳の守護神平野佳が無失点だった。経験豊富な3人でリレーし、土壇場の10、11回を無失点で耐えた。能見は来季も留任する方向。「若い子はいろんな経験をして。確実に、みんな成長していってくれている。何とかまた手助けできたら」。22年の進化へ、頼もしいベテラン勢の力は欠かせない。【酒井俊作】