ラオウ杉本が覚醒できたのは、みなさんのおかげでした! オリックスは惜しくも日本一を逃したが、4番の杉本裕太郎外野手(30)は仲間たちのサポートに感謝感謝の1年だった。15年ドラフト10位入団から6年目、本塁打王を獲得するなど大ブレークした主砲は、活躍するたびにお礼のコメントを発信。ウイットに富んだ「○○のおかげでした」を一挙公開です。【取材・構成=真柴健】

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(1)中嶋監督のおかげ

2軍だった昨年8月21日。午前に大阪・舞洲の球団寮にある風呂場で、その日から監督代行を務めることになった中嶋2軍監督と遭遇。「一緒に行くぞ!」と1軍昇格を伝えられナイターの西武戦に出場。「僕を試合に使ってくれた」。覚醒への第1歩になった。

(2)マネジャーのおかげ

4月8日、敵地ロッテ戦前に宿舎ホテルに忘れ物に気づいた。「ホテルをチェックアウトした時に革靴を部屋に忘れてしまって…。マネジャーさんに迷惑かけたので、絶対取り返そうと必死に打ちました」と今季1号。ロッテ戦通算13本塁打と大暴れのきっかけに。

(3)T-岡田のおかげ

シーズン序盤、好調の理由を聞かれ「実は…Tさんのディオールの香水を勝手に使っています。打てなくなるまで使いたい。化粧水も」とにっこり。先輩、許してくださいね。

(4)イチローのおかげ

17年オフに神戸でイチロー氏の自主トレに参加。「ホームランばかり狙うのはよくないよ、と。追い込まれたら待ち方も変えないと、って」。今もレジェンドの声が突然、よみがえることがある。

(5)山岡のおかげ

6月中旬「山岡に打撃を教えてもらったら打てました!」と笑顔。投手に打撃を教わるってジョーク? いえいえ。「軸足(右)に体重を残そうと。その構えのまま足上げたらスムーズに動かない。1度左足に乗せた方がいいと」。打撃センス抜群の右腕に感謝。

(6)借り物のおかげ

7月2日、西武戦で18号先制2ラン。「Bって描いてある靴下を忘れちゃって。ソックスを借りたら打てたので、西野さんのおかげです!」。自慢の怪力でバットが折れまくり、メーカーの対応が間に合わない期間は「吉田正バット」を拝借。後藤からはMLB風の「下半身ピチピチユニホーム」をレンタルした。

(7)ジョーンズのおかげ

「トモダチ」と呼び合う“打撃の師匠”に学んで新発見。「後ろのお尻を投球にぶつける感覚。練習はライナーを打つイメージ。試合になれば相手も本気で投げてくる。投球が強くなる分、飛距離が伸びる」。メジャー282本塁打の極意もエキスになった。

(8)虫のおかげ

9月16日、敵地楽天戦で自力V消滅の危機を救う1発を放ち、“名もなき虫”に感謝。「打席に虫がおったんです。危ないから、(手で)はらって助けてあげたら打てた。良いことしてよかった」。

(9)スタバのおかげ

10月15日、札幌へ当日移動前の伊丹空港。スターバックスコーヒーで「ミヤビさん(松井)がおごってくれた。エスプレッソアフォガートフラペチーノです!」。その夜、日本ハム戦で決勝3ラン。優勝へ大きな1勝をつかんだ。

(10)ファンのおかげ

本塁打を放って右拳を突き上げる「昇天ポーズ」が認知され「最近スタンドでもみんながまねしてくれているのが本当うれしい」。シーズンから日本シリーズまで34回突き上げた。

(11)楽天浅村のおかげ 今季使用したバットは軽量の「浅村モデル」。オフに自主トレをともにする楽天森原を通じ入手していた。同じ右の長距離砲タイプ。覚醒に欠かせない愛棒だった。

(12)とんねるず石橋貴明のおかげ

「YouTubeとかラジオで僕をイジってくださったり、気に掛けてもらっていた。石橋さん、ありがとうございました!」

◆杉本の今季 昨季まで通算76試合、9本塁打だったが一気に覚醒した。4月22日西武戦ではプロ初のサヨナラ安打を放ち勢いに乗り、6月には打率3割7分5厘、5本塁打で月間MVPを受賞。9月の7本塁打はパ最多と、吉田正が故障で離脱した期間もカバーし、打率3割1厘、83打点と年間を通して安定した働きを見せた。32本塁打で初のタイトルも獲得。昨季は2本塁打で、前年2本塁打以下の選手による本塁打王は、新人や新外国人を除き、2リーグ制後初だった。ロッテとのCSファイナルステージでは第2戦で決勝2ランを放つなどでMVPを獲得。ヤクルトとの日本シリーズでも、第3戦で小川から2ランを放ち、優秀選手に選ばれた。