阪神守護神のロベルト・スアレス投手(30)が今季限りで退団し、メジャー移籍することが11月30日、分かった。阪神は残留交渉を続けてきたが、嶌村聡球団本部長(54)がスアレス側から「夢を追わせてもらいます」と断りの連絡が入ったことを明かした。2年連続セーブ王の流出は痛すぎる戦力ダウン。球団は新守護神候補としてパイレーツの最速157キロ右腕カイル・ケラー投手(28)をリストアップするなど、ポスト・スアレス獲得に全力を尽くす。

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阪神にショッキングなニュースが飛び込んできた。絶対的守護神だったスアレスが、チームを去る。11月30日が提出期限の保留者名簿から名前が外れるのは昨年と同じだが、今回はメジャー挑戦の結論が出た上で外れた。嶌村球団本部長は「スアレス選手は来年、うちのユニホームは着ない。MLB(米大リーグ)に挑戦する」と明かした。

昨年12月末に2年契約を結んだが、2年目の選択権はスアレス側にあった。最速163キロの剛球を武器に2年連続セーブ王に輝き、メジャー球団の評価は昨年以上に高まった。嶌村本部長は「残留交渉は当然した。11月下旬に『タイガースさんからいいオファーをいただいたが、夢を追わせていただきます』と連絡があった。非常に残念」と、交渉終了を明かした。スアレスは元々メジャー志向が強く来季は31歳。「メジャーで頑張ってほしい。年齢的にも向こうでやるラストチャンスだから」。2年間奮闘してくれたことに感謝しながら、夢を後押しした。

だが、不動の守護神の流出は、大きな戦力ダウン。背水の4年目を迎える矢野阪神には非常事態だ。球団は水面下で進めてきたポスト・スアレスの獲得調査を本格化。今季パイレーツで32試合に登板した28歳右腕のカイル・ケラーも候補のひとりだ。身長193センチから最速157キロを投げ込む剛球型で、大きなパワーカーブも魅力。今季33回1/3で36奪三振と三振も奪える。

また、球団は来季も助っ人8人体制を継続する方針。嶌村球団本部長は「8人の枠は保ちながらいきたい」と話す。保留者名簿からはエドワーズ、サンズも外れ、退団となる。新外国人候補として、先発タイプで今季ドジャース3Aで8勝を挙げた188センチ右腕、アーロン・ウィルカーソン投手(32)の獲得調査を進めている。サンズに代わる野手助っ人も補強予定だ。

8人制の今季、調子がいい時期が重なると1軍外国人枠のために昇格できず不満を漏らす選手もいた。嶌村本部長は「何事もメリット、デメリットは出る。モチベーションは矢野監督、国際部も含めミーティングしながらやっている」と説明。まずはスアレスロスを一刻も早く解消すべく、新守護神獲得に全力を尽くす。

◆ロベルト・スアレス 1991年3月1日生まれ、ベネズエラ・ボリバル州出身。メキシカンリーグを経て、16年ソフトバンク入団。17年WBCにベネズエラ代表として出場した際に右肘を故障し、トミー・ジョン手術を受けた。19年限りで戦力外となり、阪神へ移籍。20、21年とセ・リーグ最多セーブ。21年6月8日の日本ハム戦では、阪神最速の163キロを記録。阪神在籍中の67セーブは球団6位。188センチ、95キロ。右投げ右打ち。

◆カイル・ケラー 1993年4月28日生まれ、米国ルイジアナ州出身。サウスイースタンルイジアナ大から15年ドラフト18巡目でマーリンズと契約。19年メジャーに昇格。メジャー通算44試合で1勝1敗、防御率5・83。193センチ、92キロ。右投げ右打ち。