今季中に国内フリーエージェント(FA)権を取得していたソフトバンク千賀滉大投手(28)が5日、ペイペイドーム内で会見し、FA権を行使せずに残留することを発表した。今季年俸4億円から2億円プラスの6億円で、選手自身が契約を見直したり破棄できる「オプトアウト」付きの年俸変動制5年契約を結んだ。千賀の米移籍を巡るこれまでの動きは以下の通り。(金額は推定)

★17年 3月のWBCで活躍し「メジャーの打者ってすごいんだろうな。えげつないのがたくさんいる。野球とベースボールの違い。力と力の勝負は楽しい。そういうところで戦ってみたい」と米大リーグ挑戦の夢が芽生えた。同オフの契約更改交渉の席で「メジャーは年齢が一番。早ければ早い方がいい」と早期の米移籍を直訴した。一方、球団はこれまで一貫してポスティング利用を認めておらず、話し合いで状況が変わることはなかった。

★18年 オフに契約更改の場で「自分から話を出した。野球人としてすごい舞台でやってみたい。発信することで自分にプレッシャーがかかるのもいいかなと思う」と再度、米移籍を直訴。三笠本部長(当時)は「基本的にホークスで長くやってもらいたいということ。スタンスは変わらない」と、ポスティング利用を認めない方針を変えなかった。年明け19年1月には初めて、後藤球団社長を交えて米移籍について話し合い。千賀は「僕の意見もそうですし、球団としての考え方も聞けた。いい時間だった」。後藤社長は「真剣に考えていることが分かった。今日、明日の話ではないが、考えを受け止め進化していきたい。こちらも凝り固まっているわけではない」と話した。

★19年 オフに巨人が山口のポスティングシステムを利用しての大リーグ移籍を容認したことで、ソフトバンクは12球団で唯一、同制度を利用していないチームになった。三笠GMは「巨人が認めたからといって、どうということではないが、考えないといけない時期には来ているのかな。王会長や後藤社長、オーナーのお考えもある」と話した。契約更改の交渉で千賀は「継続的に気持ちは伝えています」と引き続き、米移籍への思いを訴えた。

★20年 契約交渉の席で「アメリカの話が一番長かった。いろいろ話はしました。そのへんは変わりないです」と継続して話し合いを行った。三笠GMは「大きく変更があったことはない」と方針は変わらないことを明かした。球団は複数年契約のプランも用意していたが、単年契約で更改した。

★21年 10月に国内FA権を取得し「試合に使っていただいた監督、コーチ、サポートしていただいた方々に感謝したいです。権利についてはこれからしっかり考えていきたい」とコメント。シーズン後に話し合いを重ね、FA権を行使せずに残留することを決断した。

◆千賀滉大(せんが・こうだい)1993年(平5)1月30日生まれ、愛知県出身。蒲郡から10年育成ドラフト4位でソフトバンク入団。12年4月に支配下へ昇格。13年に51試合登板して1軍定着し、16年から6年連続2桁勝利。19年最多奪三振、20年には最多勝、最多奪三振、最優秀防御率の3冠。187センチ、89キロ。右投げ左打ち。