中日から国内フリーエージェント(FA)宣言していた又吉克樹投手(31)のソフトバンク入りが13日、決まった。中日加藤宏幸球団代表(63)が「ソフトバンクにお世話になると連絡があった」と明かした。球団は3年総額4億円の条件を提示し、宣言残留を容認していたが願いは届かなかった。今季チーム最多の66試合を投げるなど、8年間で400試合に登板したセットアッパーの流出は大きな痛手。球団は人的補償も含め緊急補強に乗り出す。

    ◇    ◇    ◇

中日にショッキングなニュースが飛び込んできた。FA宣言した又吉には、3年総額4億円を基本とした条件を提示し、宣言残留を認める方針を伝えてきた。だがこの日午前、又吉から加藤球団代表に移籍決断の電話が入った。「ソフトバンクにお世話になりますと連絡を受けました」。

今季は中継ぎ、抑えでチーム最多の66試合に投げ、3勝2敗8セーブ、防御率1・28の好成績を残すなど、8年間で400試合に登板した不動のセットアッパーの流出は、大きな戦力ダウン。だが、FAは本人の権利だけに、流出の現実を受け止めるしかない。ぽっかり空いた大きな穴を埋めるべく、緊急補強に動くことになる。

又吉はソフトバンクから人的補償を得られるBランク。加藤代表は「基本的にはそう(人的補償)なると思う」と方向性を明かした。「まだ(移籍の)連絡を受けたばかり。投手か野手かも含めて現場とも話をしていない。これからじっくり考える」としたが、昨季まで4年連続日本一に輝いたソフトバンクは3軍まで備える人材の宝庫。今後相手側から届くプロテクト名簿を見て、じっくり検討することになりそうだ。

現在オミクロン株の影響が不透明で凍結している新外国人投手の獲得調査も本格化させる。立浪新監督は今季12球団トップの防御率を残した投手陣のさらなる強化を課題の一つに掲げており、即戦力候補のリストアップ作業に本腰を入れる。ポスト又吉づくりはV奪回には不可欠のテーマで、立浪新体制に大きな宿題ができた。

◆FAの補償 中日は規定上、ソフトバンクに補償を求めることができる。FA権を行使した選手は旧球団での年俸によりA~Cのランクに分けられる。A(旧球団での年俸が上位3位以内)、B(同4~10位)の選手が移籍した場合、獲得球団は規定にのっとり、旧球団への金銭補償や人的補償に応じなければならない。C(同11位以下)は不要。人的補償はプロテクト28人と外国人、直近ドラフト獲得選手を除いた選手が対象。又吉の今季年俸推定4200万円はBランクとみられ、<1>年俸の40%と人的補償<2>人的補償なしで年俸の60%、のどちらかを求められる。

◆又吉克樹(またよし・かつき)1990年(平2)11月4日生まれ、沖縄県出身。西原-環太平洋大-四国IL・香川を経て13年ドラフト2位で中日入団。1年目の14年から5年連続40試合以上登板など、救援陣の柱として活躍。181センチ、74キロ。右投げ右打ち。