中日から国内フリーエージェント(FA)宣言してソフトバンクに移籍することになった又吉克樹投手(31)が15日、名古屋市の中日球団事務所にあいさつに訪れた。

午前中に約20分、加藤宏幸球団代表(63)らに退団の報告を兼ねてあいさつ。「球団からも立浪監督からも向こうでがんばれといってもらえた。ありがたかった。中日はプロ野球人生の土台になった。これからもいろんなものを積み上げていきたい」と話した。独立リーグ出身3人目の国内FA権取得で、初のFA宣言で権利を行使した。「『独立出身初の』とつけてくれた。あれはうれしかった」。先駆者として古巣にスポットライトが当たったことを素直に喜んだ。

移籍を決めた理由には「野球人としてレベルアップするためパ・リーグの野球を知りたかった。ソフトバンクの施設も充実していることも聞き、行使を決めた」と説明。また、ソフトバンクの同学年東浜や、千賀、甲斐らから連絡にも背中を押されたことも明かした。12日に会食した立浪監督からは「お前が残りたいのもわかっている。せっかく移籍するなら、そこでがんばらないといけないぞ」と激励されていた。この日は午後からナゴヤ球場にあいさつにも向かい、SNSではファンらにお別れのコメントも発信した。

又吉は今季チーム最多の66試合を投げるなど、8年間で400試合に登板。故障離脱は昨季上肢上肢コンディション不良で離脱した2カ月だけ。今季は終盤での勝利の方程式の一角を担った。ソフトバンク藤本新監督は、終盤での起用も想定する。「去年ケガしたが2カ月で戻ってきた。タフさを買われている。監督さんの選択肢に入れるような結果を出して、信頼を積み上げたい」。南国出身のタフガイは新天地での活躍を思い描いた。

◆又吉克樹(またよし・かつき)1990年(平2)11月4日生まれ、沖縄県出身。西原-環太平洋大-四国IL・香川を経て13年ドラフト2位で中日入団。1年目の14年から5年連続40試合以上登板など、救援陣の柱として活躍。181センチ、74キロ。右投げ右打ち。

◆FAの補償 中日は規定上、ソフトバンクに補償を求めることができる。FA権を行使した選手は旧球団での年俸によりA~Cのランクに分けられる。A(旧球団での年俸が上位3位以内)B(同4~10位)の選手が移籍した場合、獲得球団は規定にのっとり、旧球団への金銭補償や人的補償に応じなければならない。C(同11位以下)は不要。人的補償はプロテクト28人と外国人、直近ドラフト獲得選手を除いた選手が対象。又吉の今季年俸推定4200万円はBランクとみられ、<1>年俸の40%と人的補償<2>人的補償なしで年俸の60%、のどちらかを求められる。