プロ野球の統一球を飛びやすいように変えながら公表していなかった問題で、日本野球機構(NPB)は14日、各球団への事情説明などのために東京・内幸町で12球団代表者会議を開き、第三者機関を設けて経緯や事実関係などを調べることを全会一致で決めた。

 顧問弁護士や12球団でメンバーを選定し、7月10日のオーナー会議までに報告をまとめる。

 会議は非公開で行われ、終了後に記者会見した加藤良三コミッショナーは第三者機関の調査について「今回の統一球の問題、それについての情報開示の問題、NPBのガバナンス(統治)の問題が検討に含まれる」と、組織の体質そのものに踏み込むものになると説明した。

 統一球の反発係数の検査結果は、加藤コミッショナーにすぐに報告されていた。球団側も統一球を検証する立場にありながら、検査結果の確認を怠っていたとの認識が示された。出席者からは「12球団にも責任がある」との声もあり、会議でもコミッショナーらの責任を追及する場面はなかったという。

 プロ野球では2007年に西武が裏金をアマ側に渡していた問題で第三者による調査委員会を設置した例があるが、実態解明とは程遠い結果に終わった。オーナー会議まで1カ月を切った状態で、まだ人選も終わっておらず、責任の所在も含め実効性のある調査ができるかが焦点になる。

 NPB事務局には加藤コミッショナーが「不祥事ではない」と述べた12日の記者会見以降、14日正午までに約6000通のメールが届くなど抗議が殺到した。

 加藤コミッショナーはこの日の会見で「ファン、選手、関係者に迷惑を掛けたことは大変な失態だった。猛省している」と話したが、自身の進退については「コミッショナーという職務に磨きをかけ、機構を強くしたい」と辞任を重ねて否定した。

 独断で球の変更を決めたとされる下田邦夫事務局長をはじめ今回の問題についての処分は発表されなかった。