<さよならプロ野球>

 2014年も多くの選手が球界の第一線を退いた。「さよならプロ野球」で新たな人生を歩み出した元選手を紹介する。

 オリックスに投手として6年間在籍した伊原正樹氏(28)は現役引退し、打撃投手としてチームを陰で支えることになった。昨年10月1日に戦力外通告を受け、球団からスタッフのオファーがあったのが11月5日。受験予定だったトライアウトが4日後に迫っていた。

 「まだ現役を続けたい気持ちはありましたが、トライアウトを受けたらこの話はないということだったので…。ずいぶん考えました」。公表されていなかったが、伊原は11年に結婚。2人の息子が誕生し、長男はもうすぐ3歳になる。家族のことを考えると、悩むのは仕方なかった。

 「僕は1度、戦力外になっている。長い目で見たときに、その繰り返しになるのは厳しい。家族がいるので。引退後も野球に携わりたかったし、他の職業に対する不安もあったので、お受けしました」

 左腕の伊原は関西国際大から08年ドラフト2位で入団。1年目に初登板初先発など将来が嘱望されたが、12年からは1軍登板がなかった。13年は戦力外となり、育成選手としてプレー。同年7月に再び支配下登録されていた。

 一番の思い出は、苦い記憶だった。「4年目(12年)の2月にあった阪神との練習試合ですね。先発して3回13失点。悔しかったというか、恥ずかしかった。見せ物でしたね」。今後は打者と違った形で向き合うことになる。「(15年シーズンは)戦力も整って、優勝できるんじゃないかと思う。迷惑をかけないように、選手の気分を盛り上げていきたい」。少しでも力になれれば、と考えている。【大池和幸】

 ◆伊原正樹(いはら・まさき)1986年(昭61)11月4日、兵庫・尼崎市生まれ。小5から野球を始める。岡山・共生高では2年夏の県8強が最高。関西国際大では同期の右腕、榊原諒(日本ハム2位指名で入団)とともに初の明治神宮大会出場に貢献。オリックスでは通算12試合で0勝6敗、防御率6・65。185センチ、74キロ。左投げ左打ち。