甲子園を沸かせた選手は時に「怪物」と呼ばれ、ファンを魅了してきました。今年、ドラフト1位で入団した巨人岡本和真内野手(18=智弁学園)も高校時代に「怪物」として騒がれました。

 ここでは、ひと足早く取材メモを紹介します。詳しくは27~31日までの紙面連載をお楽しみに。

 自然に囲まれ、のどかな雰囲気を漂った町並みがそう思わせたのだろうか。ドラフト翌日の昨年10月24日、岡本との初対面での第一印象は「気が優しく、ほんわかとした好青年」だった。両親や野球チーム、智弁学園での教えなのだろう。とにかく、礼儀正しく、大きな体を90度に折り曲げて、あいさつする姿が印象的だった。

 照れ屋な性格と遠慮からなのだろう。大きな体とは対照的に声は小さかった。超高校級スラッガーと言えども、18歳の高校3年生。記者に質問されれば、少し大きな目標や夢を語るのが普通だが、かわすかのように、岡本は「自分はまだまだですが」と前置きした上で言葉を並べた。冷静に考え、自分の言葉でしっかり語る姿は、1年前の西武森と重なった。

 取材を進めるほど、真っすぐで人間味にあふれる青年だと感じた。先輩記者から、ある時の取材で目を潤ませた瞬間があったと聞いた。「どうしてなの?」と真相を聞くと、「僕がケガで離脱した時で、チームメートの話を聞かれて、仲間の思いや姿がフッと頭に浮かんできて…。やばかったっす。だって、僕、涙もろいんで」と笑った。

 甲子園で放った衝撃的なバックスクリーン弾。単純な疑問として、どうしてあそこまで飛んだのかは最大の関心事だった。「カインド」-「橿原磯城シニア」-「智弁学園」。岡本の球歴をひもときながら、ルーツや思考、恩人に迫った。怪物と呼ばれた男-。同世代で高校野球界をにぎわせながら、楽天安楽とは交わることがなかったが、意外な共通点が2人にはあった。【岡本担当=久保賢吾】