オープン戦でも巨人に負けるな!

 阪神のSD職を務める野球日本代表の星野仙一監督(61)が、開幕前のG倒指令をチームに発信した。10日はリニューアル工事中の甲子園球場を見学。その後、同行した宮崎恒彰オーナー(65=電鉄本社取締役)と約2時間会談し、11日をはじめ、4試合予定される巨人戦に「勝ちを意識してやっていかなアカン」と意見した。巨大戦力を擁するライバル球団に先制パンチをかますことが、V奪還の第一歩となる。

 新装された甲子園に胸が騒いだのか、日本代表監督が、虎の将の顔に戻った。宮崎オーナーとの2時間に及ぶロングラン会談で、やはりあの球団の話題が出た。11日にスカイマークで巨人と今季初対決。この日ばかりは阪神首脳の立場で熱く語った。

 「相手も有力選手が出てくる。勝ちを意識してやっていかなアカン」。オープン戦では異例のG倒をチームに要求した。

 ライバル球団はオフにラミレスやクルーンらを獲得。例年以上に巨大戦力を保有して、過去の栄光を取り戻そうと懸命だ。グライシンガー争奪戦でぶつかりあり、結果は敗れた因縁もある。阪神もやはりV奪還が最大のテーマ。それはG倒なくしてはありえない。

 オープン戦(1試合は練習試合)で直接対決は4試合予定されている。開幕前の先制パンチで出鼻をくじけば、ここ5年で4度も勝ち越しているだけに精神的優位は揺るがない。現役時代から巨人に敵対心を燃やした星野監督らしいメッセージだ。

 宮崎オーナーも星野監督の言葉に大きくうなずいた。「私もそう思う。これまで(オープン戦)はいろいろテストもあり、勝ち負けを意識しなかった。これからは仕上げの段階。勝ちパターンを作っていかないといけない。岡田監督も分かっていると思う。巨人戦がどうなるか興味がある」。年明けから、首脳陣と「G倒会議」を催すなど、オーナーも伝統の一戦を制することを今年の最大のテーマに掲げている。

 星野SDはトップ会談の前には、リニューアル工事中の甲子園を見学した。11日に北京五輪の世界最終予選視察で台湾入り。本拠地の新しい姿を見る機会が当面ないために、この日の訪問となった。「先に見に来いとオーナー、社長から命令されたよ。見てよかった」。スタンドの雰囲気はもちろん、相手ベンチや売店などくまなくチェック。ここでも、虎戦士へのゲキを忘れなかった。

 「ファウルゾーンが6メートルぐらい狭くなったな。ファウルが増えて、投手は苦労するかな」。その一方で「(打者有利は)あるだろうな。バッターは数字を上げないといけない」と、打線のさらなる奮起を要望した。

 【田口真一郎】