<オープン戦:ロッテ4-3日本ハム>◇11日◇千葉マリン
怪物に闘志が戻った。日本ハム高校生ドラフト1巡目の中田翔内野手(18)が途中出場した。試合前には親しくする先輩のダルビッシュ有投手(21)から直接カツを入れられ、迎えた打席は1打数無安打。13打席連続無安打となったが、9回の第2打席は右手にプロ入り初の死球を受け「(闘志が)みなぎってきたっす」と火が付いた。タイムリミットに設定された13日までの残り2試合に全力でぶつかる覚悟は決まった。
マウンドをにらみつけんばかりの威圧感が漂った。9回2死一塁の第2打席。ロッテ伊藤の直球が、中田の左腕をかすめて右手を直撃した。プロ入り初の死球。「めっちゃ痛いっす。これからアイシングです」と振り返るその目には炎が宿っていた。7回1死三塁の場面に代打で登場した第1打席も、打点を挙げたとはいえボテボテの二ゴロ。開幕1軍へ当落線上の立場だけに、バットを振れなかったことの“痛さ”があった。
だがおかげで、アドレナリンは全開だ。帰り際には、初の死球にボルテージが上がり「(闘志が)みなぎってきたっす」とキッパリ。それもバスの窓から2度繰り返した。9日の巨人戦後に「2軍に落としてもらったほうがいいくらい」と話した弱気な姿勢は影を潜め、中田らしさが戻っていた。
復活劇のウラには周囲の気配りもある。試合前には、ダルビッシュから強烈なゲキが飛んだ。「弱音を吐くな。2軍には(1軍に)上がりたくても上がれない選手がいっぱいいるんだ」。食事面のアドバイスなど、キャンプ中から数々の助言を行ってきたダルビッシュが初めて見せた激しい説教。中田も「めっちゃ怒られました」と戸惑いは見せたが、先輩の思いはしっかりと受け取った。「(野球に臨む姿勢が)変わった部分はあります。今日は絶対に塁に出ようと思ってました」。最後まで全力でぶつかる決意が固まった。
8日には「打てなくてふてくされているように見える」と、厳しい言葉で中田を突き放していた平野打撃コーチからも「どうせやるなら、明るく、楽しくやろうぜ」と声をかけられた。効果はてきめん。この日はベンチやイニング間の投手とのキャッチボール中も、中田がうつむきかげんになることはなかった。「ボールに食らいついていくとか、そういうのは出だしている。よくなったね」。同コーチも怪物の変ぼうを評価した。
一塁手で先発出場したライバル金子洋も2打数無安打。山田GMはあらためて「13日には結論が出る」と話しており、2人のマッチレースは12日のヤクルト戦(神宮)と13日の教育リーグ湘南戦(鎌ケ谷)の2試合のみ。キャンプイン以来、初めて迎える正念場。残された少ないチャンスに中田はすべてをぶつける。【本間翼】



