横浜から移籍の岸本秀樹投手(25)が、新天地広島で開幕1軍への道を着実に歩んでいる。紅白戦の行われた12日、白組3番手で登板し、1回を1安打無失点に抑える好投。オープン戦2試合登板を含め、これで実戦形式で9試合連続無失点と健闘だ。広島トップクラスの最速153キロ右腕が、激烈なサバイバルゲームのクリアを目指す。

 東出を遊直に仕留めると、岸本は控えめなガッツポーズで無失点の余韻に浸った。これでオープン戦2試合含め、実戦9試合10イニング連続無失点。小山田とのトレードで、木村とともに横浜から広島の地を踏んだ通算24試合出場0勝1敗の岸本が、開幕1軍への道を着実に歩んでいる。

 最速153キロを誇るストレートの勢いも戻りつつある。この日の最速は147キロ。横浜時代には球界の最速王クルーン(現巨人)から「昔のオレに似ている」とも言われた。横浜入団時から2年連続で開幕1軍入りするなど即戦力として期待されたが、定まらないフォームに泣いた。再起にかける今「体の向かう方向を意識している。イメージしているフォームに近づいている」と岸本。

 思考は既に本番モードに突入した。4回2死一塁。走者は株価急上昇のスピードスター天谷。打者・東出に専念してもおかしくない場面で、クイックを意識し、4球連続ストレートで仕留めた。

 右腕中継ぎ陣のサバイバルゲームは激烈だ。ブラウン監督は3日に「右(の中継ぎ)は1人で十分」と発言。狭き1軍の門だが「まだ競争のまっただ中だ。岸本?

 実績はないが、真っすぐが速く、良い投手。評価はしている」と小林投手コーチ。開幕1軍入りの可能性も示唆した。

 与えられたノルマをクリアし「前より良かった」(岸本)。着実に結果を残す快速右腕が、開幕1軍の狭き門をくぐり抜ける。【佐藤貴洋】