<日本ハム1-4ロッテ>◇23日◇札幌ドーム

 連敗の中にも、汚名返上のプレーが光っていた。日本ハム糸井嘉男左翼手(26)が、2補殺で存在感をアピール。打撃では無安打だったが、野手転向3年目の大型外野手は「持ち味は守備では出せたと思う、守備では」と、“限定”付きながら手応えをつかんだ。

 レーザービームは7回にさく裂した。無死一塁で左飛を左中間寄りで捕球すると、ダイナミックに一塁に投げ込んだ。ランエンドヒットで二塁ベース付近まで走っていた俊足早川が慌てて帰塁したが、約70メートルのダイレクト返球で楽々アウト。会場を大きく沸かせた。

 ダブルプレーを決め定位置に戻る際には、中堅森本から「もっと笑え」とエンジョイ野球の指示が出た。「口だけにやっとしました」と緊張は消えないが、4回のオーティズの左前打には、ワンバウンド送球で二走早川を本塁で刺した。プレーでは伸び伸びと、2度の見せ場をものにした。

 大型投手として03年自由枠で入団し、最速152キロの豪腕を本拠地でうならせた。清水外野守備コーチは「ああいうのを刺せるのは強み。今日の守備なら文句はない」と合格点を出した。22日には走塁での凡プレーに失策も重なったが、売りの強肩を生かし一転、汚名返上となった。

 開幕3試合スタメンで起用を続けた梨田監督も「それくらいのことができる選手。あとは状況判断ができれば」と飛躍に期待した。糸井は「ミスも出ているけどもっと思い切ってやれるようにしたい」。引退した新庄氏をはじめ森本、稲葉らハイレベルを誇ってきた外野陣に加わる潜在能力は秘めている。【村上秀明】