<オープン戦:阪神2-10アスレチックス>◇23日◇東京ドーム

 今季も中継ぎもえ~わ!

 阪神阿部健太投手(23)が23日、アスレチックス戦の6回に2番手で登板、1回をきっちりと3人で打ち取った。中指と薬指の間にはさんで投げる“魔球”チェンジアップをうまく使い、2三振を奪って「自信になりました」。キャンプでの紅白戦から8試合続けての無失点で開幕1軍の座を射止めた。今年は江草、渡辺、阿部の「EWA(え~わ)トリオ」が中継ぎ投手陣としてJFKへのバトンをつなぐぞ!

 最高の出来だった。阿部はメジャー・リーガーを相手にしても動じない。普段通りの冷静なピッチングで、新天地での開幕1軍を勝ち取った。

 「悪くない。上々です。注意力のある選手が多い中で、変化球を混ぜながらできました。僕の立場だと結果も残さないといけないんで自信にもなりました」

 福原に代わって登板した6回だ。先頭スズキから2ストライクを奪うと、ボールを2球はさみ、落差のあるチェンジアップで見逃し三振。続くハナハンも2-1から誘い球のチェンジアップを交えた後、ストレートで空振り三振にしとめた。デノーフィアもボテボテの投ゴロに打ち取り、簡単に3者凡退。最速145キロの直球とチェンジアップ、カーブなどの変化球をうまく交える抜群の制球力で、アスレチックス打線を封じ込んだ。

 圧巻だったのがチェンジアップだ。長い指を生かし、中指と薬指の間でボールを挟んで投げる落差のある“魔球”は昨年のリーグ最多勝投手、巨人グライシンガーと同じ握りだ。「ストライクをとる球としても、空振りをとる球としても考えている」という。松山商時代に先輩に教えてもらい、握りを試す中で偶然発見。阪神移籍後もキャンプ中のブルペンでしっかりと投げ込み、ものにした。

 これで2月20日の紅白戦以来、登板した8試合はすべて無失点。計8回を投げ、許した安打もわずか2安打と、安定感は増すばかりだ。上々の出来栄えに、指揮官も「(開幕1軍リストの)中に入れる選手だから投げさせたんや。ずっとええからな」と目を細めた。

 「キャンプの紅白戦から無失点を続けているので、シーズンに入っても調子に関係なく抑えていきたいですね」

 この日のピッチングで江草、渡辺の中継ぎ陣に、“魔球”チェンジアップを引き下げて阿部が加わることが決まった。今年は最強リリーフ陣JFKに加え、EWAトリオが相手打線の前に立ちはだかる。【福岡吉央】