阪神平野恵一外野手(28)が24日、オープン戦では封印していたヘッドスライディングやダイビングキャッチを28日の開幕戦(対横浜、京セラドーム大阪)から完全解禁することを明かした。左太もも裏痛の再発を防ぐため、オープン戦では首脳陣から激しい動きを禁じられていたが、シーズンが始まればケガなど恐れてはいられない。「開幕したら自分らしいプレーをどんどん出していく」と、持ち前のガッツあふれるプレーを前面に押し出していく。

 今季新加入のガッツマンがついに本気モードに入った。オープン戦ではケガ再発防止のためにハードプレーを封印していた平野が、開幕からはいよいよヘッドスライディングやダイビングキャッチを解禁する。

 平野「(オープン戦は)もっとハードにいきたかったけど、抑えてくれと指示されていたし、ケガの再発も心配だった。ヘッドスライディングも抑え気味だったけど、開幕したらとにかく塁に出たいという気持ちで、自分らしいプレーをどんどん出して、チームの勝利に貢献したい」。

 キャンプ序盤の2月上旬に左太もも裏を痛め、チームを離脱。約1カ月のリハビリを経て3月7日の楽天戦で復帰。いきなりのヘッドスライディングやダイビングキャッチで存在を十二分にアピールした。

 だが、首脳陣からの要望で、その後の試合では激しいプレーを極力封印。頭から飛び込んでいればセーフだった内野ゴロもあえて走り抜けていたが、シーズンが始まれば話は別だ。常に全力プレーで試合に挑む。

 平野「普通にやっていたら僕はただの小さい選手ですからね。ああいうプレーはファンにも気持ちが伝わるし、気持ちは毎年一緒です」。

 オリックス時代の06年には、5月6日のロッテ戦(千葉マリン)でファウルフライを深追いしてフェンスに激突。胸部骨軟骨損傷、右腰部肉離れ、右手関節ねんざなど各所に大ケガを負い、実戦復帰に4カ月を要した。そんな悪夢を経験しているにもかかわらず、ひるむ様子はどこにもない。攻撃では、赤星、平野の足を生かした1、2番コンビで相手投手をかく乱し、守備では、ハッスルプレーでチームを盛り上げていく。

 この日の平野は、休日返上で鳴尾浜を訪れ、約2時間、室内で筋力トレーニング。「毎年変わらないことなんで」と、自分のスタイルを貫き、4日後の開幕に備えた。

 リーグが変わったことで、新たに対戦する相手投手のデータをインプットするなど、グラウンド外での作業も多い。「一生懸命自分らしくやれば結果はついてくると信じている。どんな投手がきても気持ちは負けない」。山椒は小粒でもピリリと辛い。そんなことわざを連想させる熱いハートで、虎の小兵が開幕のグラウンドに飛び出す。【福岡吉央】