開幕直前にヒヤリだ。阪神のセットアッパーで昨季90試合登板の日本新記録を作った久保田智之投手(27)が25日、西宮市鳴尾浜でのチーム練習を回避した。右足親指の痛みを訴えたもので、同市内のクラブハウスで別メニューのトレーニングに終始した。22日にレッドソックス、23日はアスレチックスとのオープン戦(東京ドーム)に連投し、通常より固いマウンドで投球した影響とみられる。病院にいく予定のない軽傷ながら、開幕目前の大事な時期に気になるアクシデントに見舞われた。

 クラブハウスからナインを乗せて鳴尾浜に到着したバスの中に、久保田の姿がなかった。昨季は日本新記録の90試合に登板し、常にブルペンで投球していたタフネス右腕が、右足親指に痛みを抱えていた。

 岡田監督は「マメちゃうかな。変に走ったりしてつぶしてもアカンから、連れてこんかった」と説明した。クラブハウスを発つ前に異状が報告され、練習回避が決まった。常川チーフトレーナーは「右足親指の全体に痛みがある。病院にいく予定もなく、病名すらつけようのない状態。投手はよくなる症状でシーズン中なら練習は休まない」と軽症を強調した。

 原因は、2試合3イニングに登板したメジャー球団とのオープン戦とみられる。メジャー仕様で日本の公式戦時よりもマウンドが固く作られていた。23日のアスレチックス戦に登板したウィリアムスはマウンドへの違和感から制球を乱し、5失点した。久保田は無安打無失点と好投したが、プレートを蹴る際に力の入る右足親指に異変が起きていた。

 「蹴る足ですからね。マウンドが固かったのもありますかね。でも全然大丈夫。明日からは普通にやりますよ」。クラブハウス内で軽く汗を流した久保田は、何事もないように話して帰宅した。

 だが開幕を3日後に控えた時点で、気にかかるアクシデントではある。前日24日は完全オフで、この日も屋外ランニングを自重。丸々2日間、走らなかったことになる。もともとが毎日でも投げたいタイプで、動きながら体調を整えるスタイル。開幕に向けて上昇したいタイミングで、スローダウンを強いられた。

 藤川、ウィリアムスと組んだ抑えの「JFK」トリオは、今季も不動の勝ちパターン継投。その先陣を切る久保田のつまずきは、チーム全体への影響も少なくない。最終登板だったウィリアムスが打ち込まれた以上に、阪神にとってはメジャーとのオープン戦が恨めしい結果を招いた。