<巨人6-5中日>◇3日◇東京ドーム

 中日和田一浩外野手(35)が3日の巨人戦で移籍後初アーチを放った。1点リードの5回、巨人金刃から左中間へ3ラン。初の1試合3安打もマークした。試合は先発川上憲伸投手(32)が7回、高橋由、亀井、小笠原に3者連続本塁打を浴び、一挙5失点で逆転負け。川上は自己ワーストタイの4被弾で、チームの連勝は4で止まったが、悩めるキーマン和田が上昇のきっかけをつかんだ。

 1度は勝利を確信する一発だった。2-1で迎えた5回1死一、二塁。中日和田のバットから放たれたラインドライブが、左中間スタンドに突き刺さった。一塁ベース手前で着弾を確認した和田は、握りしめた右拳を小刻みにふるわせた。移籍して23打席目。待ちに待った初アーチは、リードを4点に広げる豪快な3ランだった。

 「ホームランというより、走者がいるところで打てたのがよかったですね。ちょっと(タイミングを)抜かれたけど体が反応した。これでいいきっかけになればいい。少しはリラックスしてできる気がします」。

 生みの苦しみだった。少年時代からあこがれていた中日にFA移籍して1年目。米大リーグ・カブスに移籍した福留の代役に期待された。昨年までの通算打率3割1分7厘の安打製造器だが、結果が出ない。平然を装ったが、苦しかった。本拠地ではゲン担ぎのため車を乗り換えて球場入り。道順も変えた。それでも初安打は1日の巨人戦、初打点は2日の同カード。スカッとする結果が欲しかった。

 この日も、打席で試行錯誤を続けていた。独特の1本足打法のポイントは左足を上げるタイミング。先発金刃のスライダーと直球のコンビネーションに苦しみながら「早めの始動」で食らいついた。2回に左翼へ二塁打を放ち、8回にも左前打。初の1試合3安打を記録し、ようやく肩の荷をおろした。

 試合は先発川上が7回に3者連続本塁打を浴び逆転負け。首位阪神が敗れており、勝てば首位初浮上だったが、チャンスを逃した。それでも和田の上昇気配はチームにとって大きい。中日の5番打者は、4番ウッズの後を打つキーマン。不調なら、ウッズが勝負を避けられる。「次は勝つために打ちたいですね」と和田。巨人3タテには失敗したが、オレ竜打線はこれでつながる。【村野

 森】