<ロッテ0-3ソフトバンク>◇5日◇千葉マリン

 デビュー戦でパ・リーグ初の無四球完封で初勝利を飾ったソフトバンクのルーキー大場翔太投手(22)が、5日のロッテ戦(千葉マリン)で4安打無四球と2度目の完封劇で2勝目をマークした。7連続を含む球団新記録の16奪三振の快投。16奪三振以上で無四球完封、出場全選手からの奪三振は、いずれもルーキー史上初の快挙。東洋大時代に410奪三振の東都大学リーグ新記録を樹立した「鉄腕ルーキー」が、プロでも奪三振ショーを演じた。

 圧巻だった。大場が柔と剛を使い分け、華麗な奪三振ショーを演じた。序盤は「柔」の投球でロッテ打線から三振の山を築いた。初回。先頭早川をスライダーで空振り三振に仕留めたのを皮切りに、4回までに奪った9三振のうち7三振がスライダーを決め球とした。1回2死のオーティズから3回早川までは、新人記録へあと1つと迫る7連続三振もマーク。「今日は変化球は良くなかったんですけどね」と反省したが、相手のバットは、鋭く曲がるスライダーを攻略できなかった。

 球数は4回で67球を数えた。だが、5回からが鉄腕と呼ばれる男の真骨頂。肩も温まり、今度は「剛」へとシフトチェンジした。威力のある140キロ台中盤の直球で牛耳った。6回1死の今江から7回1死の西岡まで再び4者連続三振。決め球はいずれも直球で、5回以降に奪った7三振はすべて直球だった。千葉マリン球場特有の強風も味方につけ、2三振を喫したロッテ今江は「(風で)球がホップしていた」と舌を巻くほどだった。

 大場

 今日は三振を取りにいくというより、しっかり腕を振って、厳しいところに投げ込もうという意識だった。16三振?

 うれしいですね。

 ヒーローインタビュー後は、声の届かなかった鷹党が待つ左翼席の近くまで駆け寄り、サインボールを投げ込んだ。その後も三塁側のフィールドシートに陣取るファンとハイタッチを交わすなど、敵地では異例ともいえるウイニングランまでやってのけた。

 新人では史上初となる16奪三振以上での無四球完封劇。さらにはこれも新人初の出場全選手からの奪三振と、パ・リーグ初の無四球完封を飾ったプロ初勝利に続く快挙達成は、新人らしからぬ「切り替え」が奏功した。プロ初黒星を喫した前回3月30日の西武戦(西武ドーム)では、自身初となる1イニング3本塁打を献上。自信をも打ち砕かれる結果だった。しかし、下を向くことはなく「プロはすぐに次の登板がくる。反省も大事だが、次の登板でいかにベストな投球をするか」。今回はプロ初の中5日登板にもかかわらず、ブルペン投球を2度行って調整した。

 1試合16奪三振は、40年清水(当時南海)の持つ球団記録を1つ上回った。4安打完封で、リーグ16連勝中だった同年齢のロッテ成瀬にも投げ勝った。王監督も「腕が振れてたし、完ぺきだったね。攻めの投球の典型だった。ファンが喜ぶ完封だったよ」と、大場の快投で首位に返り咲き誰よりも喜んでいた。【石田泰隆】