<巨人9-1阪神>◇6日◇東京ドーム

 2発で虎を沈めた。巨人高橋由伸外野手(33)が阪神戦の3回、福原から右翼席へ史上52人目となる通算250号先制2ランを運んだ。巨人で250本以上は王、長嶋、原、松井に次いで5人目。8回には2本目の4号ソロで試合を決めた。自慢の強力打線は不振が続いていたが、チームリーダーがけん引。今季最多15安打9得点と爆発し、先発木佐貫洋投手(27)を援護した。

 2発とも打球の行方を確認するまでもなかった。高橋由の手には完ぺきな感触が残っていた。3回、福原のカーブをとらえて通算250号となる先制2ランを放つと、1点を返された8回には、筒井のスライダーをたたき、ダメ押しのソロを右翼席に運んだ。

 借金「6」で迎えた試合だっただけに「何とかこの悪い流れを断ち切ることしか考えてなかった」と振り返った。1本目を打った後は、区切りのメモリアル弾にもかかわらず、花束を受け取ってもニコリともしなかった。それだけ勝利を欲していた。この日は全体練習前に室内でたっぷり打ち込んで臨んでいた。チームリーダーの、もう負けたくないという必死さが結果に結びついた。

 今季はバットも打撃フォームも変えていない。だが唯一変わったのがユニホームのズボンのサイズだ。おしりの周りが3センチ大きいものに変更した。キャンプで例年ほどスイング数を振り込むことはなかったが、結果を出せた昨年のいい点を保ちながら強めに振り込んだことで、下半身が強化された。

 この日の2本とも、しっかりとした下半身主導のバッティング。変化球でも体勢が崩れず、しっかりとした軸回転で打った。「(変化球を)狙ってたわけじゃないけど、うまく体が止まって打てた。いいポイントで打てたと思います」と自己分析した。

 阪神との3連戦の初戦では先頭打者本塁打を放ったが、直後の打席で死球を当てられた。「阪神はいつも最初の対戦で厳しいところを突いてくる。でも気持ちで負けちゃいけない」と闘志を燃やしていた。連敗で迎えていたが、このまま終わる気はさらさらなかった。意地の1発、いや2発がチームに待望の勝利を呼び込んだ。

 通算250号については「それだけ打ってきたのかっていうのはありますけど、それを目標にしていたわけじゃないしね」とさらり流した。それよりも打線がつながり、チームにいい兆しが出てきたことを喜んだ。もう1人の打のヒーロー坂本をたたえながら「まだ大学2年生の歳でしょ。すごいよね。まあいいって今日はオレは」と、笑いながら主役の座を譲った。【竹内智信】