<阪神2-0中日>◇9日◇甲子園

 生みの苦しみは野球の神が鉄人に与えた試練なのか。雨が降りしきる中で迎えた阪神金本の最終第4打席。前日と同じ中日の変則左腕の小林との対決だったが、リベンジはならず二飛に打ち取られた。打球の行方を見上げ、表情を押し殺しながら一塁に向かった。

 通算2000本安打に王手をかけて臨んだ甲子園での2戦目。初回に四球を選んだが、その後は3打数無安打2三振に終わった。「そりゃ、来てる人は見たいやろうしな。そりゃ、早く終わらせたいよ」。重圧が背中にのしかかっていた。

 6日の巨人戦第1打席で1999本目を放って以来、2つの四球を含め、11打席連続でヒットなし。2年前に連続フルイニング試合出場の世界記録を打ち立てた記念日を、もう1つのメモリアルデーにすることはできなかった。

 これまで記録達成者36人の中で、王手をかけてから10打席以上ヒットが出なかったのは江藤(太平洋)柴田(巨人=ともに17打席)福本豊(阪急=11打席)の3人だけ。岡田監督は「関係ない打席だったら、簡単にヒットも出るのにな」と気遣った。明日11日からは横浜での試合となるため、きょう10日は地元で決める事実上のラストチャンスとなりそうだ。【福岡吉央】