<中日8-0阪神>◇22日◇ナゴヤドーム

 中日の「虎キラー」中田賢一投手(25)が阪神打線を5安打に封じ、プロ初完封をマークした。本来の球威がない中、尻上がりに調子を上げ、前回対戦で打ち込まれた雪辱を果たした。2回には自ら今季初タイムリーも放った。打線は前回抑えられたアッチソンを完全攻略した。首位攻防3連戦第1ラウンドを制し、阪神に1・5ゲーム差と迫った。

 中田は最後まで無心だった。9回は新井、金本、今岡のクリーンアップ。新井を142キロ直球で右飛、金本はフォークで三ゴロ、最後の打者今岡を141キロ直球で中飛。130球を投げ切った。「とにかく1人1人しっかり投げました。完封?

 意識しませんでした。意識して打たれたことがありましたから」。お立ち台で汗をぬぐった。

 プロ初完封だった。ルーキーイヤーの05年9月6日の阪神戦(ナゴヤD)では9回2死から1点を失ったこともあった。昨年6月17日の日本ハム戦では0-0同点の9回1死からサヨナラ打を浴びた。「ずっと(完封が)できてないのは分かってた。1つ自信になると思います」と胸を張った。落合監督も「初完封とは知らなかった。それなら8回(2死一、二塁で)前進守備させていたよ」と話した。

 落合監督から「暴れ馬」と言われる制球力を上げるため、キャンプから投球フォーム修正に取り組んできた。だが、自慢の球威が失われた。「(球に)力が伝わらない。何か変えたいと思っていた」。横浜戦が中止となった18日、雨の横浜スタジアムで森バッテリーチーフコーチの指導の下、遊撃の位置から一塁にいる捕手へ投球を繰り返した。左足への重心移動と右腕を大きく使うことをイメージ。必死に腕を振った。この日も直球の球速は140キロ台前半。必死で谷繁のリードに食らいつき、尻上がりに調子を上げた。

 前回黒星を喫した阪神に雪辱し「虎キラー」の本領も発揮した。昨季までレギュラーシーズン11戦8勝だが、8日(甲子園)の今季初対決で敗戦投手となった。7回に新井らに適時打を浴び3失点。この日は新井を2打席連続三振を含む4打数無安打に封じた。

 試合後の落合監督は「花丸まではいかない。丸1個。5重マルに花がつくようにならないと」とあえて厳しい評価でねぎらった。これ以上ない展開で首位攻防3連戦の初戦を制し、阪神に1・5差とした。【上野竜一】