<横浜1-2広島>◇26日◇横浜

 広島高橋建投手(39)がまた無失点の快投を演じた。打線の援護がない中、横浜三浦と0-0の熱い投げ合い。7回に1点をもらい、その裏までリードを守った。チームトップタイの3勝目。前回、1-0完封を成し遂げた男がまたもチームを救った。ネット裏にはヤンキースのスカウトの姿も。来季のメジャー移籍をにらむ39歳が、あらためて健在ぶりを見せつけた。

 笑顔で三塁側のスタンドに何度も手を振った。横浜スタジアムの左半分を赤く染めた大応援団。高橋にとって彼らは特別な存在だ。出身地・横浜のファンの声援が心地よかった。

 「今日は前回の登板よりも少し抜けた球が多かったので、低めの制球だけは特に意識していた。5回と7回は特に粘り強く投げられましたね。低めに集めることができました」。

 三浦との行き詰まる投手戦。我慢レースに勝ったのは39歳左腕だった。5回は2死満塁とされたが野中を一邪飛。虎の子の1点をもらった直後の7回は無死一、二塁を切り抜けた。最後、仁志を143キロで空振り三振に切ると左こぶしをグイッと握り締めた。

 「今年、いい成績を収めて向こうの野球に挑戦したい」。昨秋、メジャーへのFA移籍願望を明かした。夢は以前からあった。05年の左ひざ手術などで一度はあきらめかけたが、先発に復帰した昨年から完全復活をアピールしている。来年で40歳。挑戦できる最後のチャンスと思っている。

 ネット裏にはヤンキースの紀田スカウトがノートをつけながら高橋の投球を見守っていた。細かい評価や獲得の意思についてはコメントを避けたが「今日の内容は報告します。あの年齢でここまで投げるのはすごい」と感想を語った。

 前回は1-0で完封勝利。これで20回0/3も「0」を続けている。完封勝ちがまぐれではないことを証明した。ルイスに並ぶ3勝目。広島先発陣の中心として、絶大な存在感を示す快投だった。【柏原誠】