<ヤクルト0-1中日>◇26日◇神宮

 最後は内角直球だった。中日小笠原は、1ー0の7回2死一、三塁、青木をカウント2-1に追い込んだ。139球目は130キロの直球。スピードはなくても、気迫のこもったボールで昨季のリーグ首位打者をつまらせた。投ゴロに仕留めてグラブを何度もたたいた。7回を投げて7安打無失点で、今季3勝目を挙げた。

 苦心のマウンドだった。3者凡退は6回だけで、実に5イニングで得点圏に走者を置いた。「毎回、ランナーを出してしまったので、リズムが悪くなってしまった」と反省。しかし3番青木、4番ガイエルを完ぺきに封じて耐えた。6回終了時には雨で21分間の中断。球数は118球だったが、左肩を冷やさないようにジャンパーをかけてベンチに座った。雨をにらみつけるように、静かに再開を待った。「(再開後も)いくぞといわれていた。やるなら早くやってくれと思った」。

 雨が恨めしかった。18日横浜戦が雨天中止となって、先発予定だった朝倉が翌19日にスライド登板。はじき出された小笠原は、中継ぎとしてブルペン待機となった。先発機会が消えて、20日には先発吉見の後をリリーフ。「今は先発のみんながいいんで、中継ぎに回されたとしてもしょうがない。みんなちょっとおかしいから」と本音。この日の完封でチーム防御率は驚異の1・87となった。

 2週間ぶりの先発マウンドで、雨にも中断にも負けなかった。今季の目標は自身初の2ケタ勝利。「今日のように粘り強く投げられるように頑張りたい」と誓っていた。【益田一弘】