<西武6-2ソフトバンク>◇30日◇西武ドーム

 西武が怒り爆発の4発をたたき込んだ。ソフトバンク大隣に3死球を受け、黙ってはいられない。7回まで放った4安打が、すべて本塁打と派手な1発攻勢で大隣を沈めた。5試合連続の3本塁打以上は、プロ野球タイ。2度の乱闘騒動が起きた荒れ試合を制した渡辺監督は「絶対に落としてはいけないゲーム。選手の気持ちが前に出た」と、熱っぽく語った。

 今季31試合で12球団トップの43本塁打。破壊力抜群の打線が、厳しい内角攻めに遭った。4回、片岡、中島のソロ2発で同点、勝ち越しに成功。するとブラゼル、G・G・佐藤が連続死球を受け、最初のもみ合いに。この時は冷静だった渡辺監督だが、さすがに3度目は激高した。5回、細川が死球を受けた瞬間、鬼の形相でベンチを飛び出した。止めようとした秋村球審の手も振り切って、本塁付近で王監督に猛抗議した。

 「昨日から数えて5個目の死球。選手を守るのも仕事。若い投手だからって当てすぎにも限度がある。相手が誰だろうと間違ったことは言ってない」。乱闘寸前のにらみ合いは約3分続いたが、監督の熱い思いはナインにも火を付けた。

 7回に中村、江藤が2者連続アーチを放ちダメを押した。カブレラ、和田の両主砲が抜け、長打力が懸念された打線が、この爆発ぶり。渡辺監督は「昔は試合中にベンチでボロクソ怒られていた。監督として同じことはやりたくない」。ミスしても怒らず、選手を萎縮(いしゅく)させない指導を心がけた。力を発揮できる環境を整え、失敗を恐れないフルスイングが日本タイ記録を生んだ。

 渡辺監督は球団スローガンにかけて「No

 Limit(ノーリミット)打線がいいかな」。4月30日は西武初代監督で黄金時代の礎を築いた根本陸夫氏の命日。黄金時代復活を目指す渡辺監督のもと、ナインの結束はさらに強くなった。【柴田猛夫】