<ロッテ10-1西武>◇3日◇千葉マリン

 ロッテのルーキー唐川侑己(ゆうき)投手(18)が、またまた快挙を成し遂げた。西武7回戦で本拠地初登板。成田高出身でもあり、地元での記念すべき初先発を圧巻のプロ初完投勝利で飾った。首位を快走し、好調な西武打線を3安打10奪三振、しかも無四球。大量リードに守られ、キレのある直球と大きなカーブのコンビネーションでスイスイ投げきった。高卒新人が初登板からの連勝は、球団初だ。

 最後は狙っていた。9回2死。西武石井義をカウント2ー2と追い込んでから、外寄り高め143キロ直球で10個目の三振を奪った。唐川は「最後は三振で締めたいと思っていたので、狙って取れて良かった」と屈託なく笑った。

 高卒ルーキーによる2ケタ奪三振の無四球完投はドラフト制後初の快挙だった。前回登板のソフトバンク戦(4月26日)で7回無失点の衝撃デビューを果たしてから7日。真価が問われるマウンドで、それ以上の結果を出した。

 直球の伸びが抜群だった。打撃好調で首位に立つ西武打線が140キロ前後の直球に振り遅れた。4回まで無安打無得点。ゆったりしたフォームからムチのようにしなりのある腕の振り。独特のフォームから繰り出される直球を主体に、落差の大きいカーブ、キレのあるスライダーでもストライクを取れる制球力で、簡単に打者を追い込んでいった。

 三振10個の決め球は直球7、カーブ2、スライダー1と全球種で奪った。橋本捕手は「ストライクがポンポン取れるし、ボール球も投げられる。すべてが素晴らしい」と、無四球完投を絶賛した。ネット裏でチェックしていたセ・リーグのスコアラーは「交流戦に備えて唐川の試合を先乗りスコアラーにマークさせないといけない」と危機感を募らせていた。

 千葉マリンスタジアムを埋めた満員の3万のファンも「万歳三唱」でたたえた。右翼席には「唐川世代」の横断幕が掲げられた。日本ハム中田、ヤクルト由規と並び「ビッグ3」と言われたが、現状では大きくリード。ファンの期待通りの投球に「たくさんの声援のおかげで自分の投球ができた。気持ち良かった」と18歳らしい笑顔がはじけた。

 これでチームの連敗を5で止めて、西武の連勝も3で止めた。「対バッターにはある程度通用するのではないかなと感じています。まあ、こんな感じじゃないですか」と確かな手ごたえを口にした。バレンタイン監督も「この状況を楽しんでいるようにも見えた。本当に素晴らしいのひと言に尽きる」と褒めたたえた。先発ローテ入りも決定づけた。次回登板は11日の楽天戦が有力だ。「今日よりさらにいい投球をしてお客さんに喜んでもらいたい」と、快進撃は止まりそうにない。【鳥谷越直子】