<巨人4-8阪神>◇6日◇東京ドーム

 祝・4500勝!

 阪神が巨人に8-4と打ち勝ち、節目の球団通算4500勝を飾った。快勝のキーワードは、この日も「つなぎ」。4回に打者一巡で5得点、7回にもとどめの2点を奪ったが、つながる打線の中心は不動の4番金本知憲外野手(40)だ。4月20日以来、13試合ぶりの猛打賞となる3本の二塁打で、猛攻を引っ張った。貯金は今季最多の13。チーム本塁打は最少の14本でも、リーグ最多124得点と驚異的につながる猛虎打線は最大の脅威だ。

 一塁ベースを蹴った瞬間、金本の表情が一変した。涼しげな目元が鋭くなり、鬼気迫る形相。歯をグッと食いしばり、走る。豪快なスライディングで右中間への当たりを二塁打にした。1点を争う緊迫した場面ではない。4点リードの9回2死。得点には結びつかなかったが、どんな状況でもあきらめずに1点を取りにいった。「今日は走りすぎて疲れたよ」。4番は独り言のようにつぶやいた。貯金を「13」に膨らませた猛虎の強さ。それは表情の「変化」に凝縮されていた。

 ライバルとの1戦で、誇らしい通過点にたどり着いた。巨人に次ぎ、両リーグで2番目の速さで、球団通算4500勝を記録。前回の区切りとなる4000勝ではオリックスに後れを取った。このスピードアップに貢献したのは、紛れもなく金本だ。03年の移籍から、その存在は革命的だった。体を痛めても、グラウンドに立ち続ける姿。主砲でありながら、次の塁を積極的に狙う姿。「この球場、この相手では、何点リードしても安全じゃない」。決して油断しない姿勢を貫いた。

 「金本革命」が収穫のときを迎えた。同点で迎えた4回表。自らの二塁打で無死二、三塁にチャンスを広げた。今岡の中飛で新井が本塁生還。金本もタッチアップで三塁に進んでいた。これが打者10人5得点の猛攻を呼んだ。さらに7回には右翼線へのタイムリー二塁打で突き放した。

 「どうしても1点ほしかったな。あそこは勝負やと思った」。大黒柱の高い意識は他の選手にもしっかりと浸透している。鳥谷が適時打で続き、なおも二盗を決め、攻撃の手を休めなかった。5日の中日戦でも1イニング7得点のシーンがあったが、このつながりは偶然ではない。金本がタテジマのユニホームに袖を通してから、この日で420勝目。積み重ねなくしては考えられない。

 3連勝で調子づいてきた巨人を撃破したことも大きい。岡田監督も会心の勝利に声が弾んだ。「集中打がいいところで出る。みんな強引さがない。(4500勝は)もうひとつピンとこないが、1戦1戦いいゲームをできるようにしたい」。さまざまな出来事で彩られた球団の歴史。その中でも、今年は光り輝く1年になりそうだ。【田口真一郎】